小冊子
検尿の考え方・進め方 - 第1章 2.検尿の疫学データ
以下に小・中学生、大学生、中年期、高年期の検尿異常の代表的な疫学データを示す。
〈表〉学校検尿の陽性率(一次・二次検尿成績)
平成12年度東京都予防医学協会
村上睦美:腎と透析 54:94,2003より引用 学校検尿は各地方においてそれぞれの方式をとって行われている。表3)に、早朝第一尿を2回検査する東京方式を用いて東京都予防医学協会が平成12年度に小・中学生を対象に行った学校検尿の陽性率の成績を示す。ここでは蛋白尿・血尿ともに(±) 以上を陽性としている。一時検尿では、小学生の尿蛋白陽性率は0.69%、尿潜血陽性率は2.15%、尿蛋白・潜血陽性率は0.10%であり、中学生ではそれぞれ2.11%、4.63%、0.39%であった。二次検尿では小学生の尿蛋白陽性率は0.13%、尿潜血陽性率は0.83%、尿蛋白・潜血陽性率は0.05%であり、中学生ではそれぞれ0.44%、1.08%、0.12%であった。
一方、大学生を対象とした一次検尿における尿蛋白・潜血陽性率は図44)のようになる。ここでは一次検尿の採尿条件を随時尿または早朝尿としており、尿蛋白・潜血ともに(+)以上を陽性としている。尿蛋白陽性率は男性3.82%、女性4.55%男女合計では4.06%であり、尿潜血陽性率は男性2.01%、女性4.51%、男女合計では2.81%で、蛋白尿・潜血両者の陽性率は男性0.30%、女性0.60%、男女合計では0.40%であったとしている。ここで特筆すべきことは、尿潜血陽性率が各年齢を通して女性が男性より2倍以上の高率を示したことである。採尿条件として、女性では月経中の検尿を避けることにはなっているが、一般に月経をはさんだ前3~4日、後5~6日は検尿成績、特に尿潜血反応の信憑性が著しく低下することが知られていることからも、女性が男性に比し2倍以上の尿潜血陽性を示したこの成績には、月経の影響が避けられないものとしている。
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