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新型コロナウイルス感染症について

透析患者に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が疑われた場合及び確定した場合の対応

会 告

2020年3月3日

公益社団法人 日本透析医会
会 長 秋澤 忠男
一般社団法人 日本透析医学会
理事長 中元 秀友
一般社団法人 日本腎臓学会
理事長 柏原 直樹


透析患者に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が疑われた場合、確定した場合の対応


背 景

2020年3月1日、九州で透析患者にCOVID-19が発症した。患者は感染症病棟に入院して、隔離透析を受けており、幸い通院透析施設のほかの患者やスタッフのPCR検査で感染者は今のところ出ていない。COVID-19は第2種感染症に指定されているため、入院を要する場合には保健所に連絡した後、第2種感染症指定病院や協力病院に入院させる必要がある。 一方、感染症指定病院では、血液透析が不可能な医療施設もあり、血液透析ができる指定病院でも透析のキャパシティーが小さい場合や透析が可能な重症個室や感染症病棟への入院は、感染コントロールチーム・救命救急科等の管理下で、軽症~中等症までのCOVID-19を合併した透析患者の入院は困難なことも推測される。

透析施設での対応案

COVID-19が疑われる症状が2日程度続いた場合
1) まずインフルエンザの迅速検査を行う。
陽性の場合、インフルエンザの治療と隔離透析。

2) インフルエンザ陰性の場合
(1) 症状が軽い場合、
隔離透析(個室、時間的、空間的)で対応して、次回まで2~3日経過観察する。
(2) 中等度の場合、
基礎疾患があるので、重症化のリスクが高いため保健所(帰国者・接触者相談センター)に相談して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検査の手配を行う。
・SARS-CoV-2陰性の場合、または検査できなかった場合、自施設で隔離透析を継続する。 重症化した場合は血液透析ができる指定病院または協力病院に入院要請する(PCR検査は入院施設で検査)。
・SARS-CoV-2陽性の場合、血液透析ができる指定病院または協力病院に入院要請するが、受け入れできない時には自施設で隔離透析を継続する。 重症化した場合は、血液透析ができる指定病院または協力病院に入院要請する。
(3) 重症の場合、
血液透析ができる指定病院または協力病院に入院要請する(PCRは入院病院で)。

*確立した診断法はまだ出ていないが、呼吸器学の基礎知識からの推論によれば、中等症や重症の判定には、血液ガス分析におけるⅠ型呼吸不全(PO2低下、PCO2正常~低下、間質性肺炎では細菌性肺炎と異なり初期から肺胞低換気によるPCO2上昇は生じにくい)の程度が有用ではないかと考えられる。 肺炎の早期には、胸部レントゲンで肺炎の存在を疑えず、胸部CTで肺炎が 確認された症例が多く報告されており、CTが可能な施設では早期にCT検査を行う。国内や中国からの胸部CT所見の報告では、両側の末梢側を中心とする多発性すりガラス状陰影が特徴的とされる。