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「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」アンケート調査(中間報告第2弾)

日本腎臓学会
会員各位

「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」アンケート調査にご協力いただいた先生方、誠にありがとうございました。

おかげさまで、4月末日時点で189例のご登録をいただきました。
紅麹コレステヘルプ摂取後に生じた腎障害の臨床像につき、先生方の診療の一助となるように、現時点での中間報告をさせていただきます。
なお、この中間報告では1症例を除いて「紅麹コレステヘルプ」を服用されていましたが、一部には「ナイシヘルプ+コレステロール」 あるいは 「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」を併用して服用されていたかたもいます。「紅麹コレステヘルプ」を服用していない1症例は「ナイシヘルプ+コレステロール」のみ服用されていましたが、この症例については、抗ウイルス薬を併用されています。また、「紅麹コレステヘルプ」を服用されているものの、症状や検査値異常を認めない症例についても登録していただいておりますが、本報告ではすべて解析対象に含めております。

患者さんは30歳代2.6%、40歳代14.2%、50歳代39.5%、60歳代32.6%、70歳以上11.1%でした。
また、女性が65.3%でした。

服用開始は38%が1年以上前(服用開始時期2023年3月以前)ですが
服用期間が短期間の方(開始時期2024年1月~3月12.4%)も発症しておられます。
初受診日は2023年11月以降で、ほとんどの方が12月~3月にかけて受診しておられます。

初診時の主訴は倦怠感(46.8%)や食思不振(47.3%)、尿の異常(39.9%)、腎機能障害(56.4%)が多く認められました。
腹部症状(12.8%)や体重減少(22.9%)を訴えるかたも少なからずおられるようです。
発熱(4.3%)や嘔気・嘔吐(4.8%)、浮腫(3.7%)、頻尿(2.4%)や体重増加(2.4%)などを呈する方は比較的少ないようです。

主な検査データ異常としてはFanconi症候群を疑う所見が目立っており、下記特徴的所見が認められました(中央値[四分位])。

・低カリウム血症(3.5 [3.0-4.0] mEq/L; 47%が3.5 mEq/L未満)
・低リン血症(2.2 [1.65-3.0] mg/dL; 64%が2.5 mg/dL未満)
・低尿酸血症(1.8 [1.4-3.18] mg/dL; 54%が2.0 mg/dL未満)
・代謝性アシドーシス(HCO3- 18.2 [15.5-22.0] mmol/L; 47%が18.0 mmol/L未満)
・尿糖陽性(62.6%が3+以上)
また、
・eGFR低下(29.3 [17.3-42.0] mL/min/1.73m2)
・血清クレアチニン上昇(1.59 [1.17-2.57] mg/dL)
・尿蛋白増加(1.66 [0.8-2.7] g/gCr)
・尿β2MG(15550 [141-32820] ng/mL)
・尿NAG(21.7 [11.3-30.7] IU/L)となっており、Fanconi症候群としては、尿蛋白がやや多い印象があります。
尿β2MG、尿NAGは非常に高い症例から正常範囲の症例まで症例により差があるようです。

血清CK (113 [75-154] U/L)の上昇はなく、横紋筋融解症による腎障害は否定的でした。
また、上記データは登録された患者すべてについて解析しており、「紅麹コレステヘルプ」を服用していたが、症状や検査値異常がない方のデータも含まれていることをご留意ください。

腎生検は2023年12月から2024年3月にかけ、94症例(50.8%)に実施されており
まだ、組織診断が最終報告に至っていない症例もありますが、
尿細管間質性腎炎(43.5%)、尿細管壊死(28.3%)、尿細管障害(8.7%)が主な病変です。
光顕上、糸球体に病変を認めたという報告は2例ありました(メサンギウム増殖性糸球体腎炎、巣状分節状糸球体硬化症)。
ただし、「紅麹コレステヘルプ」と糸球体病変の因果関係は不明です。

治療ですが、透析療法を必要としたのは7症例です
ステロイド治療を行ったのが約2割となります。
低カリウム血症に対するカリウム補充や代謝性アシドーシスに対する重曹投与など
電解質異常に対する補正をされている症例が多くみられます。

経過中の血清クレアチニンの最大値は1.88 [1.40-2.84] mg/dLですが
アンケート記入時の直近の
血清クレアチニン1.12 [0.95-1.38] mg/dL
eGFR 44.0 [35.0-51.5] mL/min/1.73m2
であり、
腎機能低下は、ステロイド治療なしでも被疑剤の中止だけである程度改善する傾向にあります。
ステロイド治療については、腎生検所見などを参考に選択する必要があると思われます。
なお、尿所見、電解質異常については、経過をフォローされた方のうち、約3/4の症例で改善傾向を示してしていますが、
改善に乏しい症例もあり、注意が必要です。

透析治療を要した7症例のうち、5症例は透析から離脱しています。
なお、維持透析に移行した1症例は、以前から糸球体腎炎と診断されている患者であり、2023年3月以前に「紅麹コレステヘルプ」を服用中止しており、Fanconi症候群を疑う臨床徴候も認めておりません。糸球体腎炎の経過による透析導入に矛盾しないため、主治医からは「関連性は低い」とコメントいただいています。また、もう1症例は受診時両側の水腎症があり、現時点でも水腎症が改善しておらず、透析から離脱できておりません。「紅麹コレステヘルプ」との関連は不明です。

企業による死亡例の発表がなされていますが、本アンケートでは死亡された方はおられませんでした。

健康被害と「紅麹コレステヘルプ」との因果関係については科学的な検証が必要と考えております。
原因物質については、候補物質に関する報道がなされていますが、今後厚労省が国衛研とともに網羅的探索かつ発生機構の解明を行うことになっています。
「紅麹コレステヘルプ」に関連した健康被害として、この報告でお示しした以外の病態を否定するものではありません。
現在、データクリーニングをして最終報告に向けて解析を行っておりますが、本調査にご協力いただいた先生に腎生検所見に関する追加情報や腎機能が改善するのかなど、追跡調査をお願いする予定としております。腎臓学会等で最終報告をさせていただきます。

日本腎臓学会理事長 南学正臣
日本腎臓学会副理事長 猪阪善隆