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アンケート調査「COVID-19ワクチン接種とネフローゼ症候群新規発症・再発の関連性に関する調査研究」の結果がCENに掲載

日本腎臓学会会員の皆様へ

<論題>New-onset and relapse of nephrotic syndrome following COVID-19 vaccination: a questionnaire survey in Japan
<著者>Nakagawa N, Maruyama S, Kashihara N, Narita I, Isaka Y.
<雑誌>Clinical and Experimental Nephrology. 2022 May 15. doi: 10.1007/s10157-022-02231-y. Online ahead of print.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35569069/

日本腎臓学会と厚生労働省「難治性腎障害に関する調査研究」の合同研究班は、日本腎臓学会評議員581名(382施設)を対象としたWebアンケート(2022年8月31日~9月30日)を行い、ワクチン接種後のネフローゼ症候群、新規発症6例、再発21例を確認しました。

85%がファイザーのRNAワクチン接種者で、年齢は60歳以上が48%を占めましたが、全年齢層に認めており、性別では男性が56%、女性が44%でした。新規発症・再発ともワクチン接種後1週間以内に認めた症例が約半数を占めましたが、接種後3-4週間で発症した症例も約30%に認めました。2回目接種後の出現が67%で、1週間以上の持続が74%でした。原疾患は微小変化型ネフローゼ症候群が最も多かったものの、膜性腎症、IgA腎症、C3腎症でもみられました。5例で一過性・軽度の血清クレアチニン上昇を認めましたが、重篤な腎機能障害は認めませんでした。

ワクチン接種後のネフローゼ症候群の新規発症・再発との関連性については、今後も国内外の最新の報告なども参考にしながら継続して評価する必要がありますが、コロナ感染のリスクを考慮しつつ、今回の結果を参考にしながらワクチン接種をご指導頂ければと思います。また、ネフローゼ症候群の既往がない方にも、ワクチン接種後にネフローゼ症候群を新規に発症する可能性を考えご診療頂くと同時に、医療連携先のかかりつけ医の先生方への啓発も併せてご検討いただければと思います。

皆様の御協力に改めて感謝し、以上ご報告いたします。


日本腎臓学会 理事長 南学正臣
      前理事長 柏原直樹
厚生労働科学研究費補助金「難治性腎障害に関する調査研究」班 代表 成田一衛
同 ネフローゼ症候群ワーキンググループ 猪阪善隆、中川直樹