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「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」結果のご報告

日本腎臓学会
会員各位

2024年3月末から6月初めにかけ、「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」の2段階アンケート調査にご協力いただいた先生方、誠にありがとうございました。調査結果の概要を報告させていただきます。

初回調査では204例の報告を頂き、除外基準適用後の192例について解析を行いました。そのうち114例(59.4%)では追跡調査の回答を頂きました。

・患者背景として、50-69歳が71.9%を占め、女性が67.7%でした。
・使用製品は、97.2%が紅麹コレステヘルプ単独でした。
・初診時の主訴は腎機能障害(56.8%)、食欲不振(50.0%)、全身倦怠感(49.0%)でした。
・初診時の検査所見では、血清クレアチニン中央値1.6 mg/dL、eGFR 30.0 mL/min/1.73m²と腎機能低下を認めました。また、低カリウム血症(46.9%)、低リン血症(65.9%)、低尿酸血症(56.1%)、代謝性アシドーシス(46.7%)、尿糖陽性(79.5%)など、Fanconi症候群に合致する所見を認めました。
・腎生検は102例で実施され、尿細管間質性腎炎(50.0%)、尿細管壊死(32.0%)が主な病理所見として認められ、糸球体病変は軽微でした。
・全例で被疑剤が中止され、34例(17.7%)でステロイド治療、6例(3.1%)で血液透析が実施されました。
・追跡調査では、低カリウム血症(6.9%)、低リン血症(10.8%)、低尿酸血症(6.9%)、代謝性アシドーシス(0%)、尿糖陽性(0%)と、Fanconi症候群に関連する所見は著明に改善していました。しかし、87.0%の症例でeGFR 60mL/min/1.73m²未満が持続していました。透析導入となった6例のうち4例は離脱に成功しました
・1例の死亡例が報告されました。初診時に認めた腎機能障害とFanconi症候群は入院後に改善したものの、徐々に全身状態が悪化した方です。
・本研究はアンケート調査であり、プベルル酸などの候補物質が腎障害を発症するメカニズム等については、今後の解明が待たれます。

これらの調査結果は、国際腎臓学会誌 Kidney Internationalに2024年12月29日に公開されました(Kidney Int. 2025 Mar;107(3):530-540. doi: 10.1016/j.kint.2024.11.027.)。本調査でeGFR低下が持続している症例が多いことが判明したため、更なる追跡調査を予定しております。引き続きご協力賜りますようお願い申し上げます。

日本腎臓学会理事長 南学正臣
日本腎臓学会特別顧問 猪阪善隆