専門医制度

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日腎誌特集号関連領域専門医 レベルセルフトレーニングの解答と解説

  • 問題1. 解答:c
    解説

    × a CKDや糖尿病に特徴的な血管石灰化のタイプは、メンケベルグ型石灰化である。
    × b メンケベルグ型石灰化は、血管平滑筋細胞の中にPit-1を通してリンが取り込まれることによって、骨芽細胞様細胞への形質転換をきたし、進行していく。
    c 正しい。
    × d 複数の大規模なRCTでは、弁石灰化抑制に関してスタチンの有用性は示されていない。
    × e 25(OH)Vit.Dではなく、活性型ビタミンD(1,25(OH)2Vit.D)は腎臓および腸管からのリンの再吸収を増加させる。

    問題2. 解答:a, b
    解説

    a, b 2000年に新たにリン利尿ホルモンであるFGF23が同定され、ミネラル代謝に関する報告が多く見られるようになった。血清リンの上昇は末期腎不全になって初めて認められるが、リンの体内への蓄積はCKDのより早期の段階から始まっており、その刺激がPTHやFGF23といったリン利尿ホルモンの分泌を促す事が分かってきた。特にFGF23の上昇はPTHの上昇よりも早く、CKD stage G2の段階ですでに生じていることが報告され、活性型ビタミンD低下に関わっている。FGF23は、骨細胞および骨芽細胞によって産生され、常染色体優性低リン血症性くる病/骨軟化症(autosomal dominant hypophosphatemic reckets/osteomalacia:ADHR) (Nat Genet 26:345-348, 2000)などの低リン血症性疾患の責任因子として発見されたフォスファトニン(リン排泄調節性ホルモン)である。FGF23がこのような生理作用を発揮するためには、標的臓器の細胞にFGF23受容体(FGFR1)と、その共役因子であるKlothoの発現が必要である事も明らかとなった(Nature 444:770-774, 2006) (J Biol Chem 281 6120-6123,2006)。Klothoの高発現は、近位および遠位の腎尿細管、副甲状腺、および脳といった組織に限定され、FGF23作用の主要標的となっている。したがって膜型Klothoのみではリン尿作用を有するとは言えない。分泌型klothoだと、FGF23依存無く、直接的にリン利尿作用があるという報告もある。
    × c カルシウムにはリン利尿作用はない。
    × d, e CKDにおいてビタミンD欠乏は高頻度に見られ、25-水酸化ビタミンDも活性型ビタミンDも共に低下する。活性型ビタミンDの産生抑制の機序として1つ目は腎機能が低下する事により産生の場をなくす事、2つ目は血清リンの上昇により1α-hydroxylaseを抑制しビタミンD活性化障害を助長する(Arch Biochem Biophys 154:566-574, 1973)事などがあげられる。つまり、高リン血症が末期腎不全患者における1,25(OH)2D産生低下の一因となると考えられてきたが、保存期である早期のCKDでは血清リン値は正常範囲で推移している事から、保存期における1,25(OH)2D産生低下における関与は否定的であり、これだけでは早期のCKDにおける1,25(OH)2D産生低下の説明は困難であった。その後FGF23が発見され、FGF23分泌は腎機能やPTHとは独立して1,25(OH)2D濃度を規定する事が示され、(J Am Soc Nephrol 16:2205-2215, 2005)1,25(OH)2D産生低下の3つ目の機序として、早期CKDにおけるFGF23上昇が主たる要因として挙げられた。

    問題3. 解答:b
    解説
    CKD-MBDにおけるP、Ca管理の基本を問う問題である。

    × a 血清Caは予後への寄与度は血清Pより低いが、国内外のコホート研究から正常上限をわずかに超えた高Ca血症でも予後の悪化が示され、2017年に発表されたKDIGOガイドライン改訂版では、高Ca血症の回避がステートメントに盛り込まれた。
    b PTH抑制のために使用されるカルシウム受容体作動薬は、活性型ビタミンD製剤とは異なり、血清カルシウム濃度を低下させる。
    × c, d 上記ガイドラインや日本腎臓学会編のCKDステージ3b-5診療ガイドライン2017では保存期CKDでは正常範囲内の血清Pに対するP吸着薬投与は推奨されず、生命予後改善の観点から食事療法を実施しても血清Pが正常範囲でない場合にP吸着薬投与が推奨される。なお、Ca含有P吸着薬は原則投与量の制限が示され、薬剤は血清Caに応じて選択する。
    × e 高P血症に対するP制限の基本は吸収率が高くP含有の多い無機Pを含む加工食品や飲料水の制限、P/タンパク含有比の高い食品の制限である。またタンパクの由来(動物性、植物性)も腸管からのP吸収に差があるため、考慮すべきである。逆に極端なタンパク制限は栄養障害の原因となり、生命予後を逆に悪化させる可能性がある。

    問題4. 解答:e
    解説
    慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常の治療方針を問う問題である。血管石灰化、骨折、総死亡のアウトカムに関連するので、慢性腎臓病患者の全身管理として重要である。
    症例は活性型ビタミンD、カルシウム非含有リン吸着薬、高カルシウム透析液を使用している血液透析患者で、アルブミンで補正すると明らかな高カルシウム血症、高リン血症を呈している。

    × 1) 骨生検はKDIGOガイドラインでは、予期せぬ骨折、難治性の高カルシウム血症、二次性副甲状腺機能亢進症治療に非典型的な反応を示す場合、骨軟化症を疑い、標準的治療にも関わらず骨密度が低下していく症例を考慮するよう記されている。この症例では、まず骨代謝マーカーで見る。ルーチン検査のALPに加えて、腎機能に影響されない骨型ALP, TRACP-5bも有用である。
    × 2) アルファカルシドールの増量は高カルシウム血症、高リン血症をさらに増悪させる危険がある。
    × 3) 炭酸カルシウムは高リン血症を改善するかもしれないが、高カルシウム血症を増悪させる危険がある。
    4) 透析液カルシウム濃度の低下は高カルシウム血症を改善することが期待される。
    5) 炭酸ランタンの増量は高カルシウム血症を増悪させずに、高リン血症を改善することが期待される。

    問題5. 解答:c,e
    解説

    × a 保存期CKD患者では,シナカルセト塩酸塩の使用は推奨されず,保険適応にもなっていない。これは,保存期においてPTHはミネラル代謝の恒常性を維持するために分泌が亢進しており,シナカルセト塩酸塩を使用すると,低カルシウム血症,高リン血症が顕在化するためである。尚,腎移植後の遷延性副甲状腺機能亢進症では,シナカルセト塩酸塩により高カルシウム血症が改善することが示されているが,予後への効果は明らかでなく,やはり保険適応にはなっていない。
    × b エテルカルセチド塩酸塩は静注製剤のカルシウム受容体作動薬である。透析終了時に透析回路から投与可能であることから,確実な投与が可能となるとともに,服薬負担の軽減が期待される。
    c シナカルセト塩酸塩は,活性型ビタミンD製剤とは異なり,PTH分泌を抑制するとともに血清カルシウム,リン値を低下させる。この機序としては,PTH抑制による骨吸収の低下とともに,一過性の骨形成促進により骨へのカルシウム,リン移行が促進される病態が考えられる。また血清カルシウム値の低下のため炭酸カルシウムが増量され,その結果,血清リン値が低下する場合もある。
    × d KDIGOガイドラインではPTH値の管理目標として正常上限値の2倍から9倍(intact PTH 130~585 pg/mlに相当)と設定されている。一方,わが国では,日本透析医学会の統計調査の結果に基づき,intact PTH 60~240 pg/mlというより厳格な管理目標が設定されている。欧米諸国では近年,KDIGOガイドラインを背景にPTH値は上昇傾向にあることが報告されている。
    e シナカルセト塩酸塩の登場後,わが国の副甲状腺摘出術の手術件数は低下傾向にあることが二次性副甲状腺機能亢進症に対するPTx研究会により示されている。

    問題6. 解答:d
    解説

    a FGF23には、intactアッセイとc-terminalアッセイがあるが、そのいずれも透析導入などの腎予後を予測する。日本の臨床研究では前者が、欧米の研究では主に後者のアッセイが多く使われた。
    b 一般に、腎機能にかかわらず鉄の投与は、c-terminal FGF23を低下させることが報告されているが、クエン酸第二鉄に関しては保存期においてintact FGF23も低下させる。
    c 黒人では白人よりもPTH抵抗性が高い。
    × d 日本人の透析患者におけるintact PTH目標値は60~240 pg/mLであるが、KDIGOガイドラインでは、その目標管理域は正常上限値の2倍から9倍であり、日本人のそれより高い値まで許容している。
    e 日本では、25(OH)Dの測定はビタミンD欠乏性くる病/骨軟化症でしか保険償還されないが、KDIGOガイドラインでは保存期にPTHがかなり高い、あるいは上昇しつづける場合にその測定が推奨されており、低い場合には補正が推奨されている。
  • 問題1. 解答:b
    解説

    近年,糖尿病性腎症を含む様々な腎疾患の進展に,慢性炎症が深く関与することが知られている.炎症をコントロールする機構として,toll like receptor(TLR)に代表される細胞膜局在のpattern recognized receptors (PRR)に加え,細胞内局在のPRRとの関与が報告されている.このうち,NOD-like receptor family, pyrin domain-containing protein 3 (NLRP3)は,痛風,動脈粥状硬化などの無菌性炎症を惹起する刺激に応答することが知られている.

    × a NLRP1は炭疽菌毒素,細菌の細胞壁成分である,ムラミルジペプチド(MDP)を認識する.
    b NLRP3は尿酸結晶,シリカ,コレステロール結晶,アスベスト,アミロイドを認識する.また,近年糖尿病性腎症,ループス腎炎との関連も指摘されている.
    × c NLRC4はサルモネラ,レジオネラ菌などの鞭毛成分フラジェリンを認識する.
    × d AIM2は細菌,ウイルス由来の細胞質のDNA, RNAで活性化される.
    × e NLRP6は腸内の嫌気性菌であるバクテロイデスの認識に関わり,腸内細菌叢の恒常性の維持に関与することが知られている.

    問題2. 解答:a
    解説

    糸球体に結節をきたす疾患は、糖尿病性腎症以外でも単クローン性免疫グロブリン沈着症(monoclonal immune deposition disease, MIDD)、特発性結節性糸球体硬化症(idiopathic nodular glomerulosclerosis、INGS)、アミロイドーシス、イムノタクトイド/fibrillary腎炎などがある。

    a タンパク尿量は糖尿病でもネフローゼではないことも多く、またいずれの疾患でもタンパク尿量は多様であり、鑑別に有用とは言えない。
    × b INGSでは動脈硬化病変と重喫煙歴が重要である。
    × c MIDDを除外するために蛍光抗体法は必要である。
    × d イムノタクトイド腎症やfibrillary腎炎は電子顕微鏡により分類されるため必要である。
    × e MIDDでは、血中や尿中のM蛋白が重要で、特にMIDDのうち頻度の高い鎖沈着症では、血中の遊離軽鎖比や尿中ベンスジョーンズ蛋白が鑑別に重要である。

    問題3. 解答:d
    解説

    C3腎症(C3 glomerulopathy)は、dense deposit disease (DDD)とC3 glomerulonephritisの総称である。Atypical hemolytic uremic syndrome and C3 glomerulopathy: conclusions from a "Kidney Disease: Improving Global Outcomes" (KDIGO) Controversies Conferenceによる報告では、C3腎症の病理の特徴に補体の沈着、特にC3の有意な糸球体への沈着所見が重要で、C3腎症の原因を異常な補体の活性化、沈着、またはdegradationに関わるものとして、補体系の異常を含んでいるという表現になっている[1]。

    × 1. 補体異常が関与するC3腎症は、補体系の中でも第二経路(Alternative pathway)の過剰な活性化が病院と考えられている。このため、低C3血症を伴うことが多いが、低C4血症を伴うことは少ない。
    × 2. Atypical hemolytic uremic syndrome and C3 glomerulopathy: conclusions from a "Kidney Disease: Improving Global Outcomes" (KDIGO) Controversies Conference [1]による報告にも記載されている通り、現在では必ずしも膜性増殖性糸球体腎炎像は必須ではない。
    3. これまでの補体活性化異常が関与する報告では、補体制御因子の分子異常、C3やB因子の異常による症例も報告されているが、自己抗体であるNefや抗H抗体を持つ症例の方が多く、特にDDDではその割合は80%程度とされている[2]。
    4. 解説のとおり、IF所見が診断に重要である [1]。
    × 5. C3腎症は補体依存性aHUSと同様の補体系分子異常、もしくは自己抗体が原因となるが、補体依存性aHUSと異なり、現時点ではエクリツマブの有効性については議論のあるところであり、エクリツマブはC3腎症の治療の第一選択薬として推奨されていない。

    参考文献:
    1. Atypical hemolytic uremic syndrome and C3 glomerulopathy: conclusions from a "Kidney Disease: Improving Global Outcomes" (KDIGO) Controversies Conference. Kidney Int. 91, 539-551, 2017.
    2. Servais A, Noёl LH, Roumenina LT, Le Quintec M, Ngo S, Dragon-Durey MA, Zuber J, Karras A, Provot F, Moulin B, Grünfeld JP, Niaudet P, Lesavre P, Frémeaux-Bacchi V.: Acquired and genetic complement abnormalities play a critical role in dense deposit disease and other C3 glomerulopaties. Kidney Int. 82, 454-464,2012


    問題4. 解答:b
    解説

    1. SGLT2阻害薬を服用すると、空腹時の血中ケトン体濃度が軽度上昇する。心血管疾患関連死の抑制に寄与している可能性がある一方で、ケトアシドーシスを助長する懸念もある。
    × 2. 同等の血糖降下を有する薬剤ではSGLT2阻害薬ほど心血管疾患関連死抑制効果を認めないことから、別の機序が想定されている。
    × 3. 糖尿病性腎症ではポドサイトや尿細管細胞において、ミトコンドリアの形態は分裂(fission)に傾く。ミトコンドリアの分裂は一般的にその機能低下状態において認めやすく、ミトコンドリア膜電位の低下、ATP産生低下、アポトーシスと関連するとされる。
    × 4. マイクロRNAと標的遺伝子の関係は「多対多」であることが多い。
    5. 糖尿病合併オートファジー不全マウスの表現型から、オートファジーは糖尿病性腎症において腎保護的に機能すると考えられている。
  • 問題1. 解答:a
    解説

    AKIは年々増加傾向にあり、合併すると患者予後に影響することが多く報告され、近年注目を集めている疾患群である。本邦では2016年に日本腎臓学会、日本集中治療医学会、日本透析医学会、日本急性血液浄化学会、日本小児腎臓病学会の5学会合同で『AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016』が刊行されている。

    a KDIGO基準におけるAKIステージ2は、クレアチニン基準で2.0〜2.9倍上昇とされている。本邦の『AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016』では、KDIGO基準はRIFLE、AKIN基準と比較し生命予後の予測能に関して同等もしくは優れていると報告されていることから、KDIGO基準を使用することが提案されている(2C)。
    × b 血清クレアチニン値はAKI発症の24~48時間後に上昇する一方、尿中NGALは約2時間後から上昇するとされており、AKIの早期診断に用いられている。
    × c 低用量(1-3μg/kg/min)のドパミン投与は健常人において腎保護作用が期待されてきたが、近年のメタアナリシスで低用量ドパミンは生存期間を延長しないこと、透析導入率を低下させないこと、腎機能を改善させないことなどが明らかにされ、KDIGOのガイドラインではAKIの予防および治療目的では低用量ドパミンを使用しないことが推奨されている(1A)。
    × d 敗血症はAKIをきたす最も頻度の高い病態であり、50~60%にAKIが発症すると報告されている。
    × e 従来可逆性と考えられていたAKIは実は高率にCKDに進展することが近年報告されている。2012年のメタアナリシスではAKIを発症するとその後のCKDのハザード比は8.8倍、ESRDのハザード比は3.1倍に上ると報告されている。

    問題2. 解答:c, d
    解説

    a 経過中の血圧が130/80mmHg未満であると腎予後がよいことが報告されている。
    b 尿蛋白量は1g/日以上であると腎予後が不良である。
    × c 肉眼的血尿のエピソードが予後不良因子となる報告はない。
    × d 予後との関連性を示す報告はない
    e  

    問題3. 解答:e
    解説

    常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の診断基準は,表に示す通りである。
    本症例は,両親は精査をしていないためADPKDかどうか不明である.祖母はADPKDの重要な合併症である,くも膜下出血を発症しているためADPKDの可能性はあるが,確定はできない.
    家族内発症が確認されていない15歳以下では,CT,MRI,または超音波断層像で両腎に各々3個以上嚢胞が確認されることがADPKDの診断基準である.また,15歳未満で超音波検査をした場合,嚢胞腎を受け継いでいても検査で嚢胞が見つからない場合が10%弱にあり,30代で検査をすれば,98%以上の確立で診断ができるとされる.よって,本症例はADPKDである可能性があるが,現時点では確定診断がつかない.両親(特に母親)の精査を行うことが必要である.もし両親のどちらかがADPKDと診断された場合には,本例はADPKDの可能性があるため経過観察が必要である.

    表1


    問題4. 解答:a
    解説

    ループス腎炎の寛解導入療法の治療効果をみる臨床試験は,24週後あるいは12ヶ月後の腎炎に対する治療奏功率(response rate)の優劣で評価されることが多い1-3).治療奏功率は臨床試験毎に事前に設定される.尿蛋白量,尿沈渣,血清Cr値により治療奏功が定義されることが多い.例えば,「治療開始24週後の評価で,1)尿蛋白 0.5g/日未満,2)尿沈渣 正常,3)血清Cr値 正常またはベースラインの120%未満をすべて満たす場合に治療奏功とする」のように定義される.血清補体価や抗dsDNA抗体価は,SLE Disease Activity Index (SLEDAI)の評価項目に入っており,全身性エリテマトーデスの評価においては重要であるが,ループス腎炎の治療効果をみる主要エンドポイントに含まれることは通常ない.

    参考文献
    1) Appel GB, Contreras G, Dooley MA, Ginzler EM, Isenberg D, Jayne D, Li LS, Mysler E, Sanchez-Guerrero J, Solomons N, Wofsy D: Mycophenolate mofetil versus cyclophosphamide for induction treatment of lupus nephritis. J Am Soc Nephrol 2009;20:1103-1112.
    2) Wofsy D, Hillson JL, Diamond B: Abatacept for lupus nephritis: Alternative definitions of complete response support conflicting conclusions. Arthritis Rheum 2012;64:3660-3665.
    3) Furie R, Nicholls K, Cheng TT, Houssiau F, Burgos-Vargas R, Chen SL, Hillson JL, Meadows-Shropshire S, Kinaszczuk M, Merrill JT: Efficacy and safety of abatacept in lupus nephritis: a twelve-month, randomized, double-blind study. Arthritis Rheumatol 2014;66:379-389.

  • 問題1. 解答:a
    解説

    a 最近の調査では、小児期発症の微小変化型ネフローゼ症候群の30-40%は、成人期でも再発を繰り返すため、移行期医療の対象疾患と考えられるようになってきた。
    × b 成人のMCNSに対する初回治療のPSL投与期間は1-2年が一般的であるのに対して、小児期発症のNSの初期治療としては、PSLの8週間投与(国際法)が一般的である。
    × c 小児期のネフローゼ症候群の治療では、ステロイドによる成長障害(低身長)を防ぐため、免疫抑制薬を積極的に併用し、ステロイドの減量中止を行う。
    × d 平成27年7月に成人に対する医療費助成制度が充実し、ネフローゼ症候群が指定難病に追加された。 成人期を迎えたネフローゼ症候群患者に対しても高額な免疫抑制薬を処方しやすくなったため、今後はスムーズな移行が期待される。
    × e 2016年に発表された、「思春期・青年期の患者のためのCKD診療ガイド」には、移行プログラム作成の要点が記載されており、移行プログラムの作成が期待される。

    問題2. 解答:d
    解説

    臨床経過と3主徴[破砕状赤血球を伴う溶血性貧血(Hb10 g/dL未満)、血小板減少(15 万/μL未満)、急性腎障害(血清クレアチニンが年齢基準値の1.5倍以上)から志賀毒素産生性大腸菌によるHUS(STEC-HUS)が最も疑われる。 なみに3歳児の血清クレアチニン基準値は0.27 mg/dLである。

    a.b.c 志賀毒素による内皮細胞障害から微小血管症性溶血性貧血が惹起される。このため、溶血によるLDH上昇、ハプトグロビン低下、ビリルビン上昇を伴う。
    × d 自己免疫性溶血性貧血ではないためクームス試験は陰性である。
    e STEC感染症がHUSに進展する危険因子として、末梢血WBC数増多と血清CRP上昇が知られている(溶血性尿毒症症候群の診断・治療ガイドライン、五十嵐隆 編集、東京医学社、2014)。

    問題3. 解答:d
    解説

    腎疾患の移行期医療における主に小児と成人の違いについて出題した。

    × a CAKUTでは塩分喪失性の状態が多く小児期では塩分摂取を推奨されているケースが多く、成人期においてもその塩分喪失状態に応じて塩分摂取の推奨を継続する可能性は高い。 しかしながら、成人期において高血圧や肥満が合併してくると、状態に合わせた塩分制限が必要となりうる事は理解する必要がある。
    × b 詳細な紹介状は大変重要であるがそれ単独で移行プログラムが完了するわけではなく、医師のみでなく専門看護師、心理職、ソーシャルワーカーなどのチームによって進められるべきである。
    × c 成人ネフローゼ症候群においてステロイド隔日投与の有効性は明らかではない。そのため、小児期でステロイド隔日投与を実施していた場合は、必ずしも踏襲する必要性はない。
    d 成人のIgA腎症において、扁摘パルス群はステロイドパルス療法単独治療群より尿蛋白減少率が高いという報告がある[Kawamura et al. Nephrol Dial Transplant 2014;29(8):1546-1553.]。 我が国においては、非寛解例においては腎機能を考慮し扁摘パルス療法も考慮される。(エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン 2017)。
    × e 小児ループス腎炎の治療に関するエビデンスは乏しく、成人ループス腎炎の治療ガイドラインに沿って治療を行う。シクロホスファミドとミコフェノール酸モフェチル
  • 問題1. 解答:d
    解説

    × a RASS:正常血圧正常アルブミン尿1型糖尿病症例に対するRAS阻害薬の微量アルブミン発症抑制効果を検討、結果、予想外にロサルタン群では微量アルブミン尿発症が増加した。
    × b VA NEPHRON-D:顕性腎症症例に対してACE阻害薬--ARB腎障害発症抑制効果を検討したが、有害事象増加で中止された。
    × c Kumamoto Study:2型糖尿病症例に対して厳格血糖管理により細小血管障害の発症抑制効果が確認された。合計110例の規模で行われているため、死亡率や末期腎不全への進行を観察するには適さない。
    d ADVANCE:2型糖尿病症例に対して血糖降下薬としてグリクラジドを優先して用い、強化療法群(HbA1c値≦6.5%を目標)と通常療法群(7~8%を目標)を比較検討した試験である。HbA1c値は強化療法群では6.5%(通常療法群は7.3%)と、優れた血糖管理が達成された。その結果、強化療法群で腎症(蛋白尿)が21%減少し、末期腎不全もHR0.35(95%CI 0.18-0.70)で有意に抑制した。しかしながら、他の大規模試験でこのような厳格血糖管理の腎不全進行効果は確認されていない。(そのほかの選択肢)
    × e ALTITUDE:イベントリスクの高い2型糖尿病症例に対してレニン阻害薬アリスキレンをACE阻害薬・ARBに上乗せしたベネフィットが確認されず、有害事象が増加した。

    問題2. 解答:b, c
    解説

    × a GLP-1受容体作動薬は膵臓からのインスリン分泌を促進するとともに、グルカゴンの分泌を抑制する作用を持つ。
    b GLP-1受容体作動薬は食欲を抑制して体重を減少させる。
    c GLP-1受容体作動薬は血圧を低下させることが知られており、これには利尿作用が関わっている可能性がある。
    × d GLP-1受容体作動薬は血管拡張作用を示すことが報告されている。
    × e GLP-1受容体作動薬はGLP-1受容体に作用して、AMP-kinase活性を亢進させる。

    問題3. 解答:c
    解説

    糖尿病性腎臓病におけるアルドステロン拮抗薬についての基本的な知識を問う問題である。

    a 添付文書で定められている。
    b スピロノラクトン、エプレレノン、フィネレノンのいずれにおいてもRCTにおいてアルブミン減少効果が示されている。
    × c エプレレノンで示されているのは心不全合併例における心保護効果であり、心不全を合併していない症例への予防効果については明らかになっていない。
    d 添付文書で定められている。
    e RA系阻害薬との併用により、高カリウム血症のリスクが高くなる可能性がある。

    問題4. 解答:b(1.5)
    解説

    バルドキソロンメチルは、糖尿病性腎臓病をはじめとした慢性腎臓病における腎保護効果に関して臨床試験が進行中の薬である。国内外の第II, III相試験では本薬剤の投与により糸球体濾過量が増加することが報告されており、主な作用機序は酸化ストレス応答に寄与する転写因子Nrf2を安定化することによるとされる。

    1. Nrf2は酸化ストレス応答にかかわる転写因子である。
    × 2. 酸化ストレス非存在下ではNrf2は転写・翻訳後にユビキチン-プロテアソーム系で常に分解され、一定の低濃度に保たれている。一方、酸化ストレス下ではNrf2がユビキチン化を逃れて核内に移行する。
    × 3. バルドキソロンメチル投与下でも酸化ストレス下と同様に、Nrf2の分解が減少し、核内への移行が増える。これにより、抗酸化ストレス・抗炎症にかかわる遺伝子の発現が増加する。
    × 4. 慢性腎臓病のある糖尿病患者においてバルドキソロンメチル投与による糸球体濾過量の上昇が報告されている。
    5. バルドキソロンメチルは国外第3相試験であるBEACON試験において心不全の報告が多く、試験途中で中止となった。その後、日本国内では心不全のリスクが高い患者を除き、第2相試験より再開された。

    問題5. 解答:c(2.3)
    解説

    PHD阻害薬は、現在国内外にて大規模臨床試験が進行中の新規腎性貧血治療薬である。低酸素誘導因子HIFの安定化をもたらす本薬剤は、EPO遺伝子の転写を促進することで貧血を改善する。従来のESA注射製剤と比較して低侵襲であり、生理的なEPO濃度で貧血改善効果がもたらされることや鉄代謝の適正化などが報告されている。

    × 1. 慢性炎症刺激はNF-κBによる調節などを介してエリスロポエチン(EPO)遺伝子発現を抑制する。一方、低酸素刺激は生体内におけるEPO発現を増加させる。
    2. PHDはHIFα鎖のプロリン残基を水酸化し、ユビキチン・プロテアソーム分解をもたらす酵素である。同阻害によってHIFは安定化し、赤血球造血が亢進する。
    3. PHD阻害薬は経口内服可能な小分子化合物であり、従来のESA注射製剤と比較して低侵襲であることが期待される。
    × 4. PHD阻害薬による赤血球造血の主な作用部位は尿細管周囲の線維芽細胞様細胞であり、REP細胞(renal erythropoietin-producing cell)とも称される。
    × 5. PHD阻害薬による腎性貧血治療は、血清ヘプシジン値を低下させる。EPOによる造血刺激によって赤芽球からエリスロフェロンが産生され、同因子を介して間接的にヘプシジン産生が抑制される。ヘプシジンは消化管からの鉄吸収やマクロファージからの鉄リサイクルを抑制する。

    問題6. 解答:d
    解説

    抗C5モノクローナル抗体であるエクリズマブ(Eculizumab: ECZ)は典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome: aHUS)の特効薬であるが、髄膜炎菌感染症が重篤な合併症として知られている。本剤により髄膜炎菌感染リスクは健常者の1,000倍以上に増加しかつ重篤化する。本邦でもECZ治療を受けていた患者の髄膜炎菌感染症による死亡が複数報告されている。髄膜炎菌感染症の感染予防の為には、本剤投与開始の2週間前までに、本剤使用者に保険適応がある4価髄膜炎菌ワクチンの接種が必要とされている。しかしながら、補体が作用しない環境下では、ワクチンでは髄膜炎菌感染への防御には不十分である。そのため、例えワクチンを接種していても、その髄膜炎菌感染症を少しでも疑った際には速やかに第三世代セフェムの投与を行う必要がある。髄膜炎菌感染症による頭痛、嘔気・嘔吐、関節痛などの症状はインフルエンザウイルスにも類似するため注意すべきである。一方、本患者は末梢血WBCの増加やCRPの上昇を認める点が、インフルエンザウイルス感染とは異なっており、髄膜炎菌感染症の可能性を疑った対応をすべきであり、血液培養実施後に第三世代セフェムの投与を行い、入院下で経過観察すべきである。

    × a 髄膜炎菌感染症は発症24時間以内の死亡事例も多い。疑いがある際は入院加療させるべきである。
    × b 検査上は軽度の脱水が推測させるために輸液を行っても良いが、優先度はdに及ばない。
    × c インフルエンザウイルス感染症と検査所見が異なっており、迅速検査も陰性であったため、現時点では必要がない。
    d 正解。複数セットの血液培養実施後に速やかに投与されるべきである。
    × e aHUSの再発を疑わせる検査所見はないため不適切である。

    問題7. 解答:c(2.3)
    解説

    × 1. チオプリン製剤(アザチオプリン、6-メルカプトプリン)は核酸のプリン代謝経路で代謝され、プリンアナログとして細胞障害を引き起こす。NUDT15はチオプリン製剤の代謝に関与する酵素であり遺伝子多型が存在する。活性低下型アレルをホモで持つ患者では、重篤な副作用(急性白血球減少症、全脱毛)が高頻度に生じることが最近明らかとなった。活性低下型アレルの頻度は日本人をはじめ東アジア人で高い。
    2. ミコフェノール酸モフェチルはプリン代謝拮抗薬であり、de novo経路のプリン合成の律速段階となるIMPDHを阻害する薬剤である。
    3. ベリムマブはBリンパ球の生存に寄与するサイトカインであるBLySを標的とした完全ヒト型モノクローナル抗体である。
    × 4. ミゾリビンはプリン代謝拮抗薬であり、ミコフェノール酸モフェチルと同じくIMPDHを阻害することで核酸合成を抑制する。TPMTはチオプリン製剤の代謝に関与する酵素であり、その遺伝子多型による活性低下は、主に欧米人(白人)でみられるチオプリン製剤による重篤な骨髄抑制と関連する。
    × 5. リツキシマブはヒトのB細胞が発現するCD20を標的としたモノクローナル抗体であり、マウス由来可変領域とヒト由来定常領域から成るキメラ抗体である。
  • 問題1. 解答:c
    解説

    a 糖新生は主に肝臓で行われるが、長期の絶食では肝臓と腎臓の糖産生比率はほぼ同等となる。参考文献:Owen OE, Felig P, Morgan AP, Wahren J, Cahill GF Jr. Liver and kidney metabolism during prolonged starvation. J Clin Invest. 1969; 48: 574-83.
    b 腎臓は部位によって異なるエネルギー源を利用する。参考文献:Gullans SR. Metabolic basis of ion transport. The Kidney, 6 th ed. 2000: 215-246.
    × c 糸球体で濾過された大部分の糖がSGLT2を介して再吸収される。参考文献:Ghezzi C, Loo DDF, Wright EM. Physiology of renal glucose handling via SGLT1, SGLT2 and GLUT2. Diabetologia. 2018; 61: 2087-2097.
    d 糖尿病患者では、空腹時・食後ともに腎臓での糖取り込みが増加している。参考文献:Meyer C, Stumvoll M, Nadkarni V, Dostou J, Mitrakou A, Gerich J. Abnormal renal and hepatic glucose metabolism in type 2 diabetes mellitus. J Clin Invest. 1998; 102: 619-24.
    e 予後は良好である。参考文献:Rieg T, Vallon V. Development of SGLT1 and SGLT2 inhibitors. Diabetologia. 2018; 61: 2079-2086.

    問題2. 解答:b
    解説

    × a 食品のたんぱく質の栄養価には、含まれるアミノ酸に基づくアミノ酸スコアと、摂取したたんぱく質の消化吸収率(DIAAS)の2つが重要である。一般的にDIAASは動物性たんぱく質の方が高い。
    b 赤肉など消化吸収がよい食品はHFが起きやすい。
    × c 植物性たんぱく質のリン含有量は多いが、フィチン酸と結合しているため消化管からの吸収率が低く、血清リン濃度は上昇しにくい。
    × d AGEsは焼く、揚げるなど高温で乾燥した加熱調理法で生じやすく、とろ火で煮る(stewing)、蒸す、ゆでるなど低温で高湿度の調理法では生じにくい。
    × e DASH食とは果物・野菜を多く摂取し、飽和脂肪酸が少ない食事パターンである。オリーブオイルを多く用いる食事は地中海食である。

    問題3. 解答:b, d
    解説

    × a CKD患者において、食塩摂取量は血圧・尿蛋白と正の関連がある。
    b 24時間蓄尿がゴールドスタンダードとされている。
    × c Tanakaの式はCKD患者において起床後第1尿を用いた場合信頼性が高いとされている。健常人ではそれ以外の随時尿に対しても使用可能である。第2尿を用いるのはKawasakiの式である。
    d 食塩摂取量の多寡は、心血管疾患の発症と関連するという報告がある。
    × e 高齢CKD患者の食塩摂取制限は慎重を要するが、必要がないわけではない。

    問題4. 解答:e
    解説

    以前よりたんぱく質制限はリン制限につながることが知られており、リン制限はたんぱく質制限と同等に扱われてきたが、近年、主に透析期を中心に、たんぱく質を摂りながらリンを制限した方が予後に良好な影響を与えると考えられるようになってきた。

    × a 高エネルギー補助食品による総エネルギー量の維持がたんぱく質制限による低エネルギーの問題を解決するかについては証明されていない。保存期CKDにおける筋肉量減少を介して実現された血清Crの相対的低値が、透析期の予後不良因子に通じることを考えれば、特に低栄養に陥りやすい高齢者に闇雲にたんぱく質制限は勧められないであろう。
    × b もちろん、リン制限が不要というわけではなく、食事からの不必要なリン摂取は減らしつつ、効果的にリン吸着薬を使っていくことが肝要である。特に食品添加物に含まれることが多い無機リンは有機リンに比べて腸管からの吸収効率が高く、避けるべきとされている。
    × c 一方、カルシウム製剤については血管石灰化を惹起する恐れがあることから、必要最小限に留めるべきと考えられている。血清カルシウム濃度を基準値内に保つことの正当性は証明されておらず、むしろ予後を悪化させることが懸念されている。
    × d マグネシウムに関しては、これまで高マグネシウム血症による弊害ばかりが取り沙汰されてきたが、近年その抗石灰化作用が注目を集めており、低マグネシウム血症を放置することのデメリットが指摘されている。
    e 確かにタンパク質制限を徹底するとリン摂取量は減少するが、同時に低エネルギーに陥りやすくなるため、必ずしも予後の改善にはつながらない(本文図1)。

    問題5. 解答:d
    解説

    a 適切なエネルギー投与量とは、患者個々の総エネルギー消費量に見合った量である。総エネルギー消費量は基礎代謝量、食事誘導性熱産生、身体活動によるエネルギー消費量、の合計である。
    b 間接カロリメーターは三大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)の酸化過程で消費される酸素と、産生される二酸化炭素を測定してエネルギー消費量を算出する方法であり、測定条件や測定方法が適切であればエネルギー投与量の算出方法として有用性が高い。
    c Harris-Benedict式は今から100年近く前に作られた基礎(安静時)エネルギー消費量の予測式であるが、高齢女性では実測値よりも多めに算出される。安定したCKD患者においても、実測値よりも多めに算出されることを念頭に置く必要がある。
    × d 保存期CKD患者では、基礎(安静時)エネルギー消費量は健常人と同じ、または軽度低下しているとの報告が多い。
    e 週3回のHDおよびCAPD患者に対するエネルギー摂取量としては、「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」では30~35 kcal/kg 標準体重(BMI=22)/日を推奨している。

    問題6. 解答:e
    解説

    × a 血清アルブミン値の測定法は、従来のBCG法と改良BCP法が混在している。そのため、血清アルブミン値を比較する際には、施設間や測定のタイミングに注意を要する。
    × b 現在のダイアライザーは、β2-ミクログロブリンクリアランスとアルブミンふるい係数によりⅠ-a、Ⅰ-b、Ⅱ-a、Ⅱ-b、の4種の他、S型を合わせた計5種に機能分類されている。
    × c 血清アルブミン値は、低栄養だけでなく炎症、肝障害、悪性腫瘍の合併、透析などの因子の影響を受ける。低栄養以外の原因が存在しないか精査する必要がある。
    × d Protein energy wastingの診断基準には、心血管疾患の既往歴とC反応性蛋白は、含まれていない。
    e nPCRは年齢とともに低下する傾向がある。日本腎臓学会による「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014 年版」や日本透析医学会による「慢性透析患者の食事療法基準」の基準値0.9~1.2 g/kg/dayよりも少ない患者が多数存在する。
  • 問題1. 解答:a
    解説

    腹部膨満、若年からの高血圧、慢性腎不全とくも膜下出血の家族歴から多発性嚢胞腎患者であり、発熱、左背部の鈍痛、尿所見で白血球>100から腎嚢胞感染と診断される。

    a 閉鎖腔である嚢胞感染に対し、脂溶性で嚢胞透過性良好なニューキノロン系抗菌薬は、嚢胞感染症治療の第一選択として推奨される。
    × b 胞感染の起因菌としては大部分が腸管内由来の細菌で、なかでもグラム陰性桿菌が多い。
    × c 経静脈的にニューキノロン系抗菌薬を1〜2週間投与しても発熱が続いている場合は、治療抵抗性と判断しドレナージの適応と考えられる。
    × d 超音波、CTスキャン、およびMRIで感染嚢胞を検出できなかった割合はそれぞれ94%、82%、および60%であり、これらの画像診断では感染した嚢胞の同定は困難であり、最近では感染嚢胞の検出におけるPET-CT有用性が報告されているが、保険適用外である。
    × e 我が国の透析患者の死因ではADPKDでは心不全、脳血管障害についで感染症は第3位である。

    問題2. 解答:c
    解説

    最も多い腎嚢胞性疾患は単純性腎嚢胞である。50代の女性では10%弱に単純性腎嚢胞を認めると報告されている。本症例では現在のところ家族歴を認めないため、単純性腎嚢胞を否定できない。しかし、高血圧やクレアチニン値の上昇を認めるため、最も多い遺伝性腎疾患である常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)も否定できない。本症例で次に必要な検査は腹部単純CTを行い、腎嚢胞の数、位置、大きさを確認することで、確定診断できる可能性が高い。

    × a 腎生検が必要とされる場合も稀にあるが、侵襲的な検査であり、次に行うべき検査ではない。
    × b ADPKDと診断された場合には頭部MRAを行い、脳動脈瘤の有無を確認する必要がある。
    c 腹部単純CTを行うことで、腎嚢胞の個数、数、大きさがわかり、確定診断が可能となる。
    × d 腹部単純CTで単純性腎嚢胞やADPKDに特徴的な腎嚢胞ではない場合、他の嚢胞性腎疾患との鑑別に遺伝子診断が必要とされることもある。
    × e 正確な腎機能を確認するためにはイヌリンクリアランスが望ましいが、確定診断されていない状況で次に行うべき検査ではない。

    問題3. 解答:b
    解説

    主な遺伝性嚢胞性腎疾患の責任遺伝子について問う問題。

    × a 最も頻度の高い遺伝性嚢胞性腎疾患である常染色体優性多発性嚢胞腎の責任遺伝子はPKD1が85%、PKD2が15%とされていた。 しかし近年、GANAB遺伝子など、その他の責任遺伝子の報告も散見される。
    b 集合管の拡張と胆管異形成および肝内門脈周囲の線維化を含む肝病変を特徴とする常染色体劣性多発性嚢胞腎は、新生児期に症候を示す場合が多い。 主な責任遺伝子はPKHD1である。なお、問題文中のNPHP1はネフロン癆(古典的には若年性ネフロン癆)の責任遺伝子である。
    × c ネフロン癆は腎髄質に嚢胞形成を認める疾患であり、組織学的には、進行性の硬化、硝子化糸球体を伴う尿細管間質性腎炎像を呈する。 遺伝形式は主として常染色体劣性遺伝を示し、責任遺伝子は20種類以上ある。NPHP3は古典的には平均年齢19歳頃に末期腎不全に至る思春期ネフロン癆の責任遺伝子である。
    × d 髄質嚢胞性腎疾患は、常染色体優性遺伝形式をとる進行性の尿細管間質障害を示す疾患であるが、疾患名に反し多くの症例で病初期には腎嚢胞を認めないことから、 近年、常染色体優性尿細管間質性腎疾患と呼称されるようになった。UMODはその責任遺伝子の1つである。
    × e ジュベール症候群は筋緊張低下、呼吸異常、眼球運動失行、小脳虫部低形成あるいは欠損を呈する疾患であり、常染色体劣性遺伝形式をとる。 一次繊毛の障害が原因であり、ネフロン癆関連繊毛病の1つである。CEP290を含め、複数の責任遺伝子が報告されている。

    問題4. 解答:a
    解説

    ARPKDでは、これまで考えられたよりも軽症例が相当数存在することが明らかになってきた。したがって、ARPKDは成人においても考慮すべき鑑別疾患である。よって、いかなる年齢においても診断しえる。腎臓に嚢胞を形成する疾患は多数存在し、そのいずれもが鑑別診断となる。現在国際的によく使用されているARPKDの診断基準を表に示す。遺伝性嚢胞性腎疾患では、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)が鑑別すべき疾患として重要である。実際的にはエコー所見と、同胞の本疾患既往が重要である。診断に遺伝子解析は必須ではないが、診断が困難な症例では有用である。

    a ARPKDは成人においても考慮すべき鑑別疾患であり、いかなる年齢においても診断しえる。
    × b 基本的に頻度に性差はみられない1)
    × c 臨床・病理的に診断可能で、診断には遺伝子解析は必須ではない。
    × d 集合管の拡張が腎の主病変である。
    × e 胆管の異形成と肝内門脈周囲の線維化を特徴とする。

    1に加えて2の一項目以上を認める場合にARPKDと診断する。

    1.皮髄境界が不明瞭で腫大し高輝度を示す典型的超音波画像所見

    2.a) 両親に腎嚢胞を認めない、特に30歳以上の場合
       b) 臨床所見、生化学検査、画像検査などにより確認される肝線維症
       c) ductal plateの異常を示す肝臓病理所見
       d) 病理学的にARPKDと確認された同胞の存在
       e) 両親の近親婚


    (文献1)の英文を翻訳)
    文献
    1) Sweeney WE, Gunay-Aygun M, Patil A, Avner ED. Childhood Polycystic kidney disease. In: Avner ED, Harmon WE, Niaudet P, Yoshikawa N, Emma F, Goldstein SL (eds) Pediatric Nephrology, 7th edition. Heidelberg: Springer, 2016:1103-1153


    問題5. 解答:a
    解説

    生来健康で偶然の血液検査時に腎機能障害を指摘された例である。同胞がネフロン癆と診断されており、本例も同じ疾患である可能性が高い。

    a 腎外症状を認めない狭義のネフロン癆としては20種類の遺伝子が原因遺伝子として報告されているが、NPHP1は最多の原因遺伝子でネフロン癆の半数以上を占める。さらに、ネフロン癆に網膜色素変性症や骨疾患、多指などの腎外症状を合併するネフロン癆関連シリオパチー(Senior-Løken症候群、Bardet-Biedl症候群など)を含めると、約100種類の遺伝子がネフロン癆の原因遺伝子として報告されている。
    × b 特異的な治療はない。
    × c ネフロン癆は常染色体劣性遺伝疾患であり、基本的に親子での遺伝はない。
    × d 学校検尿では検出が難しく、感冒での医療機関の受診時に血液検査をした場合や、職場での健康診断時に偶然発見される例が多い。
    × e ネフロン癆では皮髄質境界部に遠位尿細管起源と考えられる嚢胞が多数見られる。また尿細管基底膜の不均一像が特徴的である(杉本圭相、小児科診療61; 1731-1737, 2018)。一方で嚢胞が目立たず間質障害が著明な例も存在する。糸球体基底膜の肥厚はAlport症候群の所見である。

    問題6. 解答:a(1.2.3)
    解説

    1. ADTKDの病理所見は、選択肢の文章のように、非特異的なものとなっている。
    2. 早期からの尿酸値上昇がADTKD-UMODの臨床症状の特徴である。これは、異常uromodulin蛋白が、NKCC2やROMKの蛋白輸送に影響を及ぼし、これら蛋白の機能が阻害されることによって、近位尿細管でのNa及び尿酸再吸収が増加し、尿酸排泄が低下するためと考えられている。
    3. ADTKD-MUC1では、ほとんどの遺伝子異常がvariable number tandem repeats (VNTRs)内に認められ、この部位はPCRが困難であることから遺伝子解析が難しい場合が多い。
    × 4. 検尿異常が乏しいことが、ADTKDの特徴である。
    × 5. ADTKDでは、腎臓のサイズが保たれる事が知られている。
  • 問題1. 解答:e
    解説

    ABO血液型不適合の腎移植前には術前の抗血液型抗体除去と脾臓摘出が必須とされていたが、リツキシマブの術前投与と血漿交換による抗血液型抗体の除去により脾摘を回避したABO血液型不適合が実施されるようになった。

    × a リツキシマブ使用による脾摘回避ABO血液型不適合腎移植の成績はABO血液型適合腎移植と遜色なく、リツキシマブの高い有効性が報告されている(文献1、2)。
    × b,c,d 免疫抑制薬による薬物療法は、T細胞免疫とB細胞免疫の両面の免疫療法が必要である。開始時期の目安としては、T細胞性免疫は細胞性拒絶反応を予防するために移植直前から開始し、グラフトが生着している限りは終生必要となる。B細胞免疫は急性期の拒絶反応を予防するために移植前から開始し、生着が成立するまで(移植後1-2週間)が主体となる。その間の抗体価の上昇は急性拒絶反応を引き起こす可能性があるため、抗体産生を十分抑制する必要がある(文献3、4)。
    e 関節リウマチなどに用いられる分子標的治療薬の一つで、可溶性炎症性サイトカインの一つであるTNFに結合して作用を阻害する。脱感作療法には用いられない。

    参考文献:
    1. 「ABO血液型不適合腎移植におけるリツキシマブ脱感作療法ガイド」日本移植学会、日本ABO血液型不適合移植研究会、日本臨床腎移植学会
    2. Takahashi K, Saito K. ABO-incompatible kidney transplantation. Transplant Rev. 27(1):1-8. 2013
    3. Takahashi K. Timing of the start of immunosuppressive therapy (duration of desensitization therapy). In:Accommodation in ABO-incompatible Kidney Transplantation, Chapter 8. Amsterdam:Elsevier. 2004:94-95.
    4. Saito K, Nakagawa Y, Takahashi K, et al. Pinpoint targeted immunosuppression;Anti-CD20/MMF desensitization with anti-CD25 in successful ABO-incompatible kidney transplantation without aplenectomy. Xenotransplant 2006;13:111- 117.


    問題2. 解答:e
    解説

    × a KIM-1(kidney injury molecule-1)は近位尿細管障害を反映するタンパク質で、急性虚血性腎障害直後に転写及び翻訳レベルで尿細管での発現が上昇することが報告されている(J Biol Chem. 1998;273:4135-4142)。KIM-1は近位尿細管障害後に尿中に分泌されるが、血中へも移行し上昇することが知られている(J Am Soc Nephrol. 2014;25:2177-2186)。興味深いことに、DKDの患者において、血漿KIM-1値は尿中KIM-1値より腎予後予測バイオマーカーとして優れており、正常または微量アルブミン尿期のDKD患者の腎予後予測にも有用であることが報告されている(Kidney Int. 2016;89:459-46)。
    × b,d TNFR1(tumor necrosis factor receptor 1)およびTNFR2はTNFαのレセプターであり、TNFαとそれに引き続く炎症性サイトカイン経路活性を反映するマーカーとして知られている。血中TNFR1およびTNFR2は、1型及び2型糖尿病患者のDKD進展マーカーとして確立されている(J Am Soc Nephrol. 2012;23:507-515, J Am Soc Nephrol. 2012;23:516-524)が、これらマーカーと腎病理組織との関連を検討した研究がある(Kidney Int. 2016;89:226-34)。この研究では、研究的腎生検により糖尿病性腎症が確認された83人のAmerican Indianにおいて、電子顕微鏡による詳細な病理学的評価を含めた12項目の腎病理所見とTNFR1/2の関連を評価しているが、血清TNFR1およびTNFR2濃度のより高い値が、腎生検時のアルブミン尿や糸球体濾過量を含めた臨床因子とは独立して、糸球体内皮細胞fenestrationの減少とメサンギウム基質増加の双方に有意に関連していた。
    × c 糖尿病性腎症の早期では糸球体基底膜でのチャージバリアの破綻が起こり、IgG分画の中でもマイナス電荷のIgG4が特に濾過されやすくなるため、IgG4/IgGクリアランス比が低下することが示されている(Diabetes. 1991;40:1685-90)。
    e MCP-1(monocyte chemoattractant protein-1)はNF-κBの刺激下で単核球や尿細管上皮、ポドサイトなどから分泌されるケモカインで、糖尿病性腎症においては、炎症性サイトカイン経路の活性化などを介して病理学的変化に寄与していることが報告されている。特に、糖尿病性腎症における病理学的所見のうち、尿細管間質病変の程度と尿中に排泄されるMCP-1レベルが相関することが報告(Kidney Int. 2000;58:1492-1499)されている他、尿細管間質病変の進展予測マーカーとしての報告もある(Nephrol Dial Transplant. 2015;30:599-606)。細動脈硝子化の程度との関連についての報告はない。

    問題3. 解答:e
    解説

    糖尿病性腎臓病に関連した代謝経路の基礎知識を問う問題である。
    細胞内に取り込まれた脂肪酸はミトコンドリア外膜のアシルCoA合成酵素によってアシルCoAとなるが,ミトコンドリア内膜は通過できないためカルニチンと結合しアシルカルニチンとなりミトコンドリア内膜をとおりマトリックスに到達する。アシルCoAはβ酸化を受けアセチルCoAとなる。アセチルCoAはピルビン酸からも供給され,クエン酸経路で代謝されNADH,FADH2が生成する。酸化的リン酸化を行う電子伝達系はミトコンドリア内膜のクリステに存在する。NADH脱水素酵素複合体,シトクロムc還元酵素複合体,シトクロムc酸化酵素複合体によりNADH,FADH2からNAD+またはFAD,プロトンと電子に酸化される。プロトンは膜間腔にくみ出され内膜を挟んだプロトン勾配が生じATP合成酵素がADPとリン酸からATPを産生する。

    × a トリプトファンは腸から吸収され主に肝臓でキヌレニン経路にて代謝される。
    × b ミトコンドリア外膜にはポリンと呼ばれる輸送タンパクが含まれており,分子量5,000以下の親水性分子は自由に通過できる。一方内膜は膜輸送タンパクで運ばれるもの以外は通過できない。
    × c トリプトファンは腸内細菌によりインドール酢酸/酪酸に代謝される。
    × d シトクロムCはミトコンドリア内膜に存在する電子伝達系の蛋白質である。
    e

    問題4. 解答:b
    解説

    糖尿病性腎臓病(DKD)に対するSGLT2阻害薬の腎イベント抑制効果が、EMPA-REG OUTCOME試験(エンパグリフロジン)、CANVAS試験(カナグリフロジン)、DECLARE-TIMI58試験(ダパグリフロジン)といった大規模臨床研究により発表された。これらの試験での腎イベント抑制効果は副次評価項目での評価であったが、その後、CREDENCE試験(カナグリフロジン)によりSGLT2阻害薬の腎イベント抑制効果が主要評価項目として検証された。DKDに対する腎イベント抑制効果を主要評価項目として検証した試験としては、ARBの有効性が示されたRENAAL試験やIDNT試験以来18年ぶりの試験となる。本問題はCREDENCE試験の対象基準を問うものであり、その対象基準は、30歳以上の成人2型糖尿病症例で、尿中アルブミン排泄量(300-5,000 mg/gCr)、eGFR 30-90 ml/min/1.73m2であった。このように、本研究の対象者は顕性蛋白尿を有しており、また、その多くが腎機能低下を呈する症例であることから、腎臓内科医が診療する機会も比較的多いと思われる。
    *CKD-EPI式:Levey AS et al. : A new equation to estimate glomerular filtration rate. Ann Intern Med. 150 : 604-612, 2009.

    × a CREDENCE試験は2型糖尿病症例のみを対象とした試験である。
    b CREDENCE試験の対象基準に合致する。
    × c CREDENCE試験では尿中アルブミン排泄量5,000mg/gCr以上の症例は対象ではない。
    × d CREDENCE試験では尿中アルブミン排泄量300mg/gCr未満(微量アルブミン尿期)の症例は対象ではない。
    × e CREDENCE試験でeGFR30 ml/min/1.73m2未満(微量アルブミン尿期)の症例は対象ではない。

    問題5. 解答:a,e
    解説

    近位尿細管に流入した糖は,Na+とともにSGLT2を介して近位尿細管局部(S1, S2セグメント)で再吸収される。そのため,慢性高血糖下では過剰な再吸収が起きるため,マクラデンサに到達するNa, Cl量の低下が惹起され, その結果, 輸入細動脈における収縮の抑制や抵抗の低下を生じさせ,糸球体の過剰濾過を起こす。
    糖尿病患者においては,糸球体過剰濾過や尿細管糸球体フィードバック (TGF: tubuloglomerular feedback)機構の破綻がみられる。
    SGLT2阻害薬は,近位尿細管局部での過剰な糖やNa+の再吸収を抑制することにより,マクラデンサに到達するNa, Clが正常化される。そのため,糸球体過剰濾過やTGFを是正し,それにより腎保護効果を示す可能性が示唆されている。しかし, 5/6腎摘モデルでSGLT2阻害薬が尿蛋白減少効果を示さないことや,一部の臨床研究でTGFが蛋白尿の減少に寄与する割合が少ないという結果も報告されており, エリスロポエチン (EPO: erythropoietin)や腎内VEGF (vascular endothelial growth factor)-Aの関与を含めて, 多面的にメカニズムを探求していく必要がある。

    a SGLT2は近位尿細管局部に存在し,近位尿細管に流入した糖やNaの再吸収に作用するため誤りである。
    × b SGTL2阻害薬は,糖尿病性腎症における糸球体過剰濾過や糸球体高血圧の是正やTGFを正常化させることにより腎保護効果を示す可能性があるためこの記述は正しい。
    × c EMPA-REG OUTCOME試験では,試験開始時に顕性アルブミン尿を有する症例は正常アルブミン尿や微量アルブミン尿の症例よりも腎保護効果が早期に確認された.この記述は正しい。
    × d SGLT2阻害薬は,空腹時の血中ケトン体濃度を上昇させることがあるため,ケトアシドーシスを助長する可能性がある. この記述は正しい。
    e SGLT2阻害薬には,心血管関連死抑制効果があるため誤りである. 経口抗酸化性炎症調節薬のバルドキソロンメチルの副作用として心不全の報告がある。

    問題6. 解答:a
    解説

    糖尿病例おける腎病理所見は、症例毎に大きな違いがある事が重要である。病理所見は、アルブミン尿が出現前から認められる。糸球体基底膜肥厚やメサンギウム増殖を主体とするびまん性病変は、比較的早期から見られる病理所見である。

    a 結節性病変やメサンギウム融解は、腎予後と強く関連する因子である。
    × b アルブミン尿出現以前から、腎病理変化が生じている。糸球体病変だけでなく、間質の線維化や血管硝子化なども、アルブミン尿出現前から見られることが多い。
    × c 糸球体肥大は、糖尿病による病理所見として良く知られているが、高血圧性腎硬化症などでも見られる。
    × 糖尿病による腎病理変化は、多様性に富む点が重要である。臨床所見だけから組織像を推測する事は困難である。
    × e 長期糖尿病歴や網膜症は糖尿病性腎症の病理診断を推測させる臨床所見であるが、他の腎疾患を除外できる訳では無い。他疾患の除外には、腎生検を施行する必要がある。

    問題7. 解答:a,d
    解説

    × a 従来、糖尿病に合併する腎障害の中で糖尿病歴、微量アルブミン尿〜顕性アルブミン尿を経てGFRの低下、高度血尿(-)、糖尿病性網膜症・糖尿病性神経障害などの合併といった典型的な臨床経過と症候を伴い、臨床的に他の腎疾患が強く疑われない症例を糖尿病性腎症と診断してきた。しかし近年、2型糖尿病患者の中には典型例とは異なり顕性アルブミン尿を伴わないままGFRの低下を示す症例が看過できないほど含まれることがわかり、従来の糖尿病性腎症に加えて非典型的な糖尿病関連腎疾患を含む概念として糖尿病性腎臓病が提唱されてきた。糖尿病性腎臓病は従来の糖尿病性腎症を含む、糖尿病の病態が関与するCKDの全般を包括した概念である。
    b 糖尿病性腎臓病の中には顕性蛋白尿を伴わないままGFRが低下するかつてearly declinerなどと呼ばれた症例も少なからず存在する。
    c 顕性アルブミン尿を伴わないGFRの低下には加齢や高血圧に伴う動脈硬化や脂質異常の関与も推定されているなど、糖尿病性腎臓病の治療には集学的治療が必要である。
    × HbA1c 7.0%未満の血糖管理により早期腎症から顕性腎症への進行は抑制するが、顕性腎症以降における腎症進展抑制効果やCVD発症抑制効果のエビデンスは確立していない。(日本腎臓学会編 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2018 p108-109)
    e GLP-1作動薬であるリラグルチドは心血管イベントのリスクが高い成人2型糖尿病患者で顕性アルブミン尿新規発症を抑制した(Leader試験1)。SGLT2阻害薬に関しても、エンパグリフロジン(EMPA-REG試験2)、カナグリフロジン(CANVAS試験3)、副次評価項目としてダパグリフロジン(DECLARE-TIMI58試験4)は顕性アルブミン尿期を含む患者集団でクレアチンの2倍化やeGFRの40%以上の低下、末期腎不全を含むハードエンドポイントの改善効果が示されている。

    参考文献:
    1. Mann J.F.E., et al. Liraglutide and renal outcomes in type 2 diabetes. N. Eng. J. Med. 377, 839-848 (2017)
    2. Wanner C., et al. Empaglifrozin and progression of kidney disease in type 2 diabetes. N. Eng. J. Med. 375, 323-334 (2016)
    3. Neal B., et al. Canaglifrogin and cardiovascular and events in type 2 diabetes. N. Eng. J. Med. 377, 644-57 (2017)
    4. Wiviott SD., et al. Dapaglifrozin and cardiovascular outcomes in type 2 diabetes. N. Eng. J. Med. 380, 347-57 (2019)

  • 問題1. 解答:d e
    解説

    腎炎が移植後10年以内に再発する平均頻度は10~20%とされ、そのうち8%が腎機能廃絶に至るとされる。再発率に関しては施設間でかなりの差あり、原疾患確認の有無によっても大きく報告数は異なる1)2)。但し早期に再発し機能廃絶におちいりやすいのは巣状分節性糸球体硬化症、リポタンパク糸球体症、オキサローシスである1)2)3)。現在再発腎炎の長期予後の集積も得られ、IgA腎症においては、長期の移植腎機能に対するリスク要因である3)

    × a IgA腎症は30%の再発率、再発後10〜30%の移植腎廃絶といわれる。
    × b 原発性膜性腎症は3〜30%の再発率、再発後0~30%の移植腎廃絶といわれる。
    × c ループス腎炎は、2〜9%の再発率、再発後の移植腎廃絶は5%以内である。
    d リポタンパク糸球体症は100%の再発率で、移植腎廃絶率も高いが、症例数少なくまとまった報告例はない。
    e 巣状分節性糸球体硬化症は、30〜60%の再発率、再発後50%の移植腎廃絶率である。

    参考文献:
    1) Morozumi K, Takeda A, et al. Recurrent glomerular disease after kidney transplantation: An update of selected areas and the impact of protocol biopsy. Nephrolgy 2014; 19(Suppl. 3):6-10.
    2) Sprangers B, Kuypers DR. Recurrence of glomerulonephritis after renal transplantation. Transplantation Reviews 2013; 27:126-134.
    3) Jiang SH, Kennard AL, Walters GD. Recurrent glomerulonephritis following renal transplantation and impact on graft survival. BMC Nephrol. 2018; 19: 344


    問題2. 解答:c d
    解説

    × a 家族の反対がある場合は適格ではない。
    × b 本人の強い希望がある場合でも、インスリンが必要な糖尿病とアルブミン尿を認める場合は適格ではない。
    c 悪性腫瘍治癒後5年経過していれば、ドナーとして適格となる。癌種によってはより長期の経過観察が必要なものもある。
    d 適正基準ドナー(70歳以下、GFR≥80ml/min/1.73m2、高血圧なし)ではないが、境界域(マージナル)ドナーとして、80歳以下、GFR≥70ml/min/1.73m2、高血圧があっても降圧剤でコントロール可能、であれば適格と認められる。姻族は3親等まで適格。
    × e 友人・寄附としての腎提供は欧米では認められているが、我が国では認められていない。

    問題3. 解答:b e
    解説

    a HLA抗原上で抗体が結合する15~20個程度のアミノ酸配列を含む半径15Åの部位をstructural epitope(構造的エピトープ)と呼ぶ。構造的エピトープはその中に半径3Å以内の2~5個の多型性を持つアミノ酸配列が存在し、抗体が結合するうえで必須となるため、その部位をfunctional epitope(機能的エピトープ)と定義し、別名でeplet(エプレット)と呼んでいる1)
    × b トナー・レシピエント間におけるエプレットのミスマッチが多いと新規ドナー特異的抗体の発生頻度は増加する。
    c エプレット解析には世界的にHLAMatchmakerというフリーソフトウェアが使用されている。これにドナーとレシピエントのhigh resolution typing (高解像タイピング)を行った4桁のHLAアレル情報を入力することでミスマッチするエプレットを同定し、その数も算定される2) (HLA Epitope Registry (https://www.epregistry.com.br/)参照)。
    d 新規ドナー特異的抗体(dnDSA)は、HLAクラスI抗原よりクラスII抗原に対する抗体が非常に多い。そのクラスII抗原に対する抗体で、HLA-DR、-DPよりもDQ抗原に対する抗体が多く、HLA-DQ抗原におけるミスマッチが最も強くdnDSA発生に関与している3)
    × e 一つのエプレットに対して一つの抗HLA抗体のみが反応するエプレットは少なく、複数の抗HLA抗体が交叉反応を示すエプレットのほうが多く存在する(HLA Epitope Registry (https://www.epregistry.com.br/)参照)。

    参考文献:
    1) Wiebe C, Kosmoliaptsis V, Pochinco D, Gibson IW, Ho J, Birk PE, Goldberg A, Karpinski M, Shaw J, Rush DN, Nickerson PW. HLA-DR/DQ molecular mismatch: A prognostic biomarker for primary alloimmunity. Am J Transplant 2019 ; 19 : 1708-1719.
    2) Duquesnoy RJ. HLAMatchmaker: a molecularly based algorithm for histocompatibility determination. I. Description of the algorithm. Hum Immunol 2002 ; 63 : 339-352.
    3) Willicombe M, Blow M, Santos-Nunez E, Freeman C, Brookes P, Taube D. Terasaki Epitope Mismatch Burden Predicts the Development of De Novo DQ Donor-Specific Antibodies and are Associated With Adverse Allograft Outcomes. Transplantation 2018 ; 102 : 127-134.


    問題4. 解答:a c
    解説

    × a 造血幹細胞移植後TMA(transplantation associated TMA:TA-TMA)は、1980年代から造血幹細胞移植後に起こる致死的合併症として認識されるようになった。造血幹細胞移植後のTA-TMAの診断基準は、米国のBlood and Marrow Transplant Clinical Trial Network(BMT-CTN)1)、European Group for Blood and Marrow Transplantation(EBMT)2)により報告されているが診断感度が高いとは言えず、腎移植後のTMAにそのまま使用すると多くのTMAを見過ごす可能性がある。現在、腎移植後TMAの統一された診断基準はなく、それぞれの報告で患者の抽出方法やTMAの診断基準は異なるのが現状である(2020年5月現在)。
    b ABO血液型不適合腎移植は、TMAのリスク因子である3)。後方視的な解析であるが移植前の抗ドナー血液型抗体価が高い症例や脱感作療法にミコフェノール酸モフェチルを使用しなかった症例に有意にTMAの発症が多かった。
    × c 腎移植後に血小板減少や溶血性貧血所見を伴うTMAはsystemic TMAに分類され早急に治療をしなければならない。原因の検索には移植腎生検や遺伝子検査結果などが必要であり、検査結果が出るまでに時間を要する。そのため、原因が確定しなくても臨床診断で治療を開始する必要がある。
    d 腎移植後に起こるTMAは、二次性TMAに分類され、de-novo TMAが多くを占める4)
    e 腎移植後のTMAの病因として、再発性TMA、抗体関連型拒絶反応、薬剤(カルシニュリン阻害薬やmTOR阻害薬)、虚血再灌流障害、ABO血液型不適合移植、ウイルス感染症、補体遺伝子異常などが報告されているが、これらの病因が明確にならないことも多い。

    参考文献:
    1) Ho VT, Cutler C, Carter S, Martin P, Adams R, Horowitz M, Ferrara J, Soiffer R, Giralt S. Blood and marrow transplant clinical trials network toxicity committee consensus summary: thrombotic microangiopathy after hematopoietic stem cell transplantation. Biol Blood Marrow Transplant. 2005;11(8):571-575.
    2) Ruutu T, Barosi G, Benjamin RJ, Clark RE, George JN, Gratwohl A, Holler E, Iacobelli M, Kentouche K, Lämmle B, Moake JL, Richardson P, Socié G, Zeigler Z, Niederwieser D, Barbui T; European Group for Blood and Marrow Transplantation; European LeukemiaNet. Diagnostic criteria for hematopoietic stem cell transplant-associated microangiopathy: results of a consensus process by an International Working Group. Haematologica. 2007;92(1):95-100.
    3) Tasaki M, Saito K, Nakagawa Y, Imai N, Ito Y, Yoshida Y, Ikeda M, Ishikawa S, Narita I, Takahashi K, Tomita Y. Analysis of the prevalence of systemic de novo thrombotic microangiopathy after ABO-incompatible kidney transplantation and the associated risk factors. Int J Urol. 2019;26(12):1128-1137.
    4) Reynolds JC, Agodoa LY, Yuan CM, Abbott KC. Thrombotic microangiopathy after renal transplantation in the United States. Am J Kidney Dis. 2003;42(5):1058-1068.


    問題5. 解答:c e
    解説

    × a 感染症のリスク評価はかならず移植前に行う。移植に関連して起きる感染症のリスクを評価し、予防接種計画を立てたり、周術期の抗微生物薬の投与計画を立てたりするのに、極めて重要である。
    × b EBVミスマッチ(D+/R-)は、EBV関連移植後リンパ増殖性疾患のリスクとして最も重要である。成人ドナーは既感染者が多く(抗体陽性率が85~90%)、小児ではEBV未感染者の割合が多いため、小児腎移植レシピエントの多くはEBVミスマッチとなり、EBV関連疾患や移植後リンパ増殖性疾患(PTLD:Post-transplant lymphoproliferative disorders)の高リスク群である1。EBV関連疾患に対する有効な治療薬は存在しないため、綿密なモニタリングと、免疫抑制薬の調整が求められる。
    c BKPyV腎症は、移植後1〜2年以内に起きやすいことが知られている。拒絶との鑑別が臨床的には容易でなく、しばしば腎生検が考慮される。腎症の発症時には血漿BKPyV DNAが高値であるため、定期的なモニタリングにより、免疫抑制薬を調整することで、腎症の発症を未然に防ぐことができる2
    × d 移植後CMV感染症のリスクが最も高いのはCMVミスマッチ(D+/R-)である。ドナー由来のCMVにとっては再活性化だがレシピエントの免疫システムにとっては初感染であり、免疫抑制療法下では、正常な免疫応答が誘導されにくい。したがって、CMV抗原血症(またはCMV DNA血漿)にとどまらず、臓器障害を伴うCMV diseaseの割合も高い3
    e 上述の通り、日和見ウイルス感染症の多くは特異的な治療薬が存在せず、免疫抑制薬の調整など、総合的な治療計画を要する。ウイルスの活動性の指標としてウイルス抗原検査や核酸定量検査が有用である4

    参考文献:
    1. Allen UD, Preiksaitis JK, Practice ASTIDCo. Post-transplant Lymphoproliferative Disorders, EBV infection and Disease in Solid Organ Transplantation: Guidelines from the American Society of Transplantation Infectious Diseases Community of Practice. Clin Transplant. 2019:e13652.
    2. Hirsch HH, Randhawa PS, Practice ASTIDCo. BK polyomavirus in solid organ transplantation-Guidelines from the American Society of Transplantation Infectious Diseases Community of Practice. Clin Transplant. 2019:e13528.
    3. Baddley JW, Forrest GN, Practice ASTIDCo. Cryptococcosis in solid organ transplantation-Guidelines from the American Society of Transplantation Infectious Diseases Community of Practice. Clin Transplant. 2019;33(9):e13543.
    4. Malinis M, Boucher HW, Practice ASTIDCo. Screening of donor and candidate prior to solid organ transplantation-Guidelines from the American Society of Transplantation Infectious Diseases Community of Practice. Clin Transplant. 2019;33(9):e13548.


    問題6. 解答:c e
    解説

    ある集団が標準とする人口集団(例えば全国)と同じ癌の罹患率を持つとしたら、その集団で何人に癌が発生するかを予測し(期待値)、実際に観察された癌の罹患数を期待値で割った値が標準化罹患比である。標準とする集団に比べて、何倍、癌を発症したかを示す値で、これが1の場合は標準集団と同じ、1より大きい場合は、標準集団よりも癌の発生が多いことを意味する。

    × a 胃癌のSIRは日本でも欧米でも1~2程度である。
    × b 子宮頸がんのSIRは各国の報告にばらつきはあるが、おおむね1~2である。日本の報告では子宮体癌のSIRが7程度と高いが欧米で1~2程度と高くない。
    c 腎癌のSIRは7~14と日本、欧米を問わず明らかに高い。
    × d 前立腺癌のSIRは日本でも欧米でも1前後である。
    e 非メラノーマ皮膚癌のSIRは日本で14、欧米では30~50程度と著しく高い。一方、メラノーマのSIRは1~2程度である。

    参考文献:
    1. 岩藤和広、中島一朗、渕之上昌平.腎移植後の悪性腫瘍―その現状と要因と対策―.日臨床腎移植会誌2:44-61, 2014
    2. Vajdic CM, van Leeuwen MT. Cancer incidence and risk factors after solid organ transplantation. Int J Cancer 125: 1747-1754, 2009

  • 問題1. 解答:b d
    解説

    a 運動療法は透析患者の最高酸素摂取量(peakVO2)や6分間歩行距離などの運動耐容能、SF-36やKD-QOLでみた健康関連QOLを改善することが複数の無作為化比較試験から明らかにされている1)2)
    × b 透析患者に対するレジスタンス運動の有効性は証明されており、有害事象の報告もない1)
    c 透析後半の時間帯は血圧低下等の有害事象発生のリスクが高いため、透析施行中に運動療法を実施する場合には透析前半の時間帯が推奨されている2)
    × d FITTとは、Frequency(運動頻度)、Intensity(運動強度)、Time(運動時間)およびType of Exercise(運動種目)のことである3)
    e 運動負荷試験が実施できた場合には、嫌気性代謝閾値(AT)レベルの心拍数、AT-1分時の負荷量あるいは最高心拍の50-70%を用いるのが適当である。運動負荷試験が実施できない場合には、Borgスコアの11(楽である)-13(ややきつい)を目標に負荷設定を行うことが多い2)

    引用文献:
    1) Chan D, Cheema BS. Progressive Resistance Training in End-Stage Renal Disease: Systematic Review. Am J Nephrol. 2016;44(1): 32-45.
    2) 日本腎臓リハビリテーション学会. 腎臓リハビリテーションガイドライン. 南江堂, 東京. 2018.
    3) Riebe D, Franklin BA, Thompson PD, et al. Updating ACSM's Recommendations for Exercise Preparticipation Health Screening. Medicine and science in sports and exercise. 2015;47(11): 2473-2479.


    問題2. 解答:a
    解説

    我が国の診療ガイドラインを総括するMindsでは診療ガイドラインを以下のように定義している。
    「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書。」(福井次矢・山口直人監修『Minds診療ガイドライン作成の手引き2014』医学書院.2014.3頁)

    a
    × b
    × c
    × d
    × e

    問題3. 解答:b
    解説

    a 血圧180/100mmHg以上の場合は運動療法の禁忌であり開始しない1)
    × b 嫌気性代謝閾値(AT)を下回る負荷の有酸素運動が推奨されている1)
    c ゴムバンドを用いたレジスタンス運動はCKD患者に推奨されている。
    d 60秒の静止を伴う柔軟体操はCKD患者に推奨されている1)
    e 腎移植患者は保存期CKD患者に対する運動処方を参考にする1)

    参考文献:
    1) 日本腎臓リハビリテーション学会. 腎臓リハビリテーションガイドライン: 南江堂; 2018.


    問題4. 解答:b
    解説

    × a CKD患者に合併するサルコペニア・フレイルには,加齢や身体活動量低下など多くの要因が関与すると考えられている1)。たんぱく質摂取量の制限(たんぱく質制限)もその要因の1つではあるが,否定的な報告2)もあり,必ずしもたんぱく質制限で発症するものではない。食事療法としては,適切なたんぱく質量の摂取と,十分なエネルギー量の確保が重要である。
    b 3)
    × c 高齢CKD患者では,末期腎不全リスクより死亡リスクのほうが高い4)
    × d CKDの標準的食事療法として,1.0g/kg体重/日未満のたんぱく質制限が推奨されているが,サルコペニア・フレイルの予防や改善には少なくとも1.0g/kg体重/日以上のたんぱく質摂取量が推奨されており,両立しない3)
    × e サルコペニア・フレイルを治療するためには,たんぱく質摂取量を増加するだけでは不十分で,運動療法との併用が重要である5)。また,CKD患者にこれらが合併している場合は,過剰なたんぱく質摂取は,腎機能の悪化あるいは心血管・死亡リスクが増加する可能性があり,避ける必要がある3)

    文献:
    1) Moorthi RN, et al. Clinical relevance of sarcopenia in chronic kidney disease.
    Curr Opin Nephrol Hypertens 2017; 26(3): 219-28.
    2) D'Alessandro C, et al. Prevalence and correlates of sarcopenia among elderly
    CKD outpatients on tertiary care. Nutrients 2018; 10(12): 1951.
    3) 日本腎臓学会.サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言.日腎会誌 2019;61:525‒56.
    4) O'Hare AM, et al. Age affects outcomes in chronic kidney disease. J Am Soc Nephrol 2007; 18 (10): 2758-65.
    5) サルコペニア診療ガイドライン作成委員会. サルコペニア診療ガイドライン2017 年版.
    日本サルコペニア・フレイル学会, 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 2017.


    問題5. 解答:c
    解説

    × a クレアチニンは骨格筋量と関連する。
    × b 血清リン濃度は低リン血症の場合には栄養不良との関係が深く、高リン血症はオートファジーを抑制することで細胞の分化を抑制し筋萎縮を促進することが報告されている。
    c 関連性を示す報告はなされていない。
    × d TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインは骨格筋の各受容体を介してNF-κBシグナルを活性化し、ユビキチンリガーゼ遺伝子やMuscle atrophy F-Box(MuRF1)の増加を介して筋タンパク質の分解が促進され、筋萎縮が生じる。
    × e 血中ビタミンD低下は高齢者の転倒や骨折リスクとの関連性が知られており、逆にビタミンDの補給は筋肉の強度および歩行が改善することが示されている。

    参考文献:
    1) Visser M, Deeg DJ, Lips P. Low vitamin D and high parathyroid hormone levels as determinants of loss of muscle strength and muscle mass (sarcopenia): the Longitudinal Aging Study Amsterdam. J Clin Endocrinol Metab 2003; 88: 5766-5772.
    2) Zhang YY, Yang M, Bao JF, Gu LJ, Yu HL, Yuan WJ. Phosphate stimulates myotube atrophy through autophagy activation: evidence of hyperphosphatemia contributing to skeletal muscle wasting in chronic kidney disease. BMC Nephrol. 2018; 19:45.
    3) Sosa P, Alcalde-Estevez E, Plaza P, Troyano N, Alonso C, Martínez-Arias L, Evelem de Melo Aroeira A, Rodriguez-Puyol D, Olmos G, López-Ongil S, Ruíz-Torres MP. Hyperphosphatemia Promotes Senescence of Myoblasts by Impairing Autophagy Through Ilk Overexpression, A Possible Mechanism Involved in Sarcopenia. Aging Dis. 2018; 9: 769-784.


    問題6. 解答:d
    解説

    a サルコペニアを合併したCKD患者の予後は、合併しない場合と比較して死亡率や入院期間が悪化する。尿中クレアチニン排泄量と死亡リスクを検討した報告では、尿中クレアチニン排泄量が減少するほど、すなわち筋肉量が低下するほど死亡リスクが上昇した1)
    b Korea National Health and Nutrition Examination Survey (KNHANES)によると、CKDステージが進むほど筋肉量低下頻度は上昇し、正常およびCKDステージG1、G2、G3~G5で、男性はそれぞれ2.6%、5.6%、18.1%、女性は5.3%、7.1%、12.6%であった2)。BIA法と上腕中央周囲経と皮下脂肪に基づく計算、主観的包括的アセスメントによりサルコペニアと診断したCKDステージG3~G5では、いずれの診断方法であっても、サルコペニアの合併は予後不良であることが確認されている3)
    c クレアチニンは、筋肉運動のエネルギー源となるクレアチンが代謝されてできる。筋肉内で合成されるクレアチニンの量は筋肉量に比例するため、筋肉量が少ない場合、合成されるクレアチニンも少ない。
    × d サルコペニアを合併したCKDにおいて、運動療法はサルコペニア改善に有効であり、運動療法と食事療法の併用は、運動療法単独より有効である可能性が考えられるが、その場合の食事療法は、タンパク質摂取量とともに十分なエネルギー摂取量を確保することが重要である4)
    e CKD患者におけるサルコペニアの発症や進展には、タンパク質の摂取不足以外にもエネルギー不足も大きく関与していると考えられており、さらに加齢や運動不足などの一般的なリスク因子に加えて、炎症、代謝性アシドーシス、天然型ビタミンD不足といったCKD患者特有の因子や利尿薬の服用等、さまざまな要因が寄与していると考えられている5)

    引用文献:
    1) Sinkeler SJ, et al. Creatinine excretion rate and mortality in type 2 diabetes and nephropathy. Diabetes Care 2013; 36: 1489-1494.
    2) Moon SJ, et al. Relationship between stage of chronic kidney disease and sarcopenia in Korean aged 40 years and older using the Korea National Health and Nutrition Examination Surveys (KNHANES IV-2,3 and V-1,2), 2008-2011, PloS One 2015; 10: e0130740
    3) Pereira RA, et al. Sarcopenia in chronic kidney disease on conservative therapy: prevalence and association with mortality. Nephrol Dial Transplant 2015; 30: 1718-1725.
    4) 日本腎臓学会 サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言
    サルコペニア・フレイルを合併したCKDの食事療法検討WG
    5) Moorthi RN, Avin KG. Clinical relevance of sarcopenia in chronic kidney disease. Curr Opin Nephrol Hypertens 2017; 26 :219-228

  • 問題1. 解答:a, e
    解説

    × a 間在細胞は酸塩基平衡調節のほか、体液量制御やカリウム排泄にもかかわることが示されている1)2)
    b MRは集合管主細胞・間在細胞に高発現しており3)、MR拮抗薬はこの部位で作用する。
    c 尿細管各部位におけるNa再吸収量の内訳は、近位尿細管が60%、ヘンレのループ太い上行脚が30%、遠位尿細管が7%、集合管が2%程度とされている4)
    d 集合管のNotchシグナルの抑制や活性化に伴って、主細胞と間在細胞の比率が変化することが報告されている5)
    × e pendrinはtype B間在細胞とnon-A non-B間在細胞に発現し、HCO3-排泄とCl-再吸収を担っている6)

    参考文献:
    1. Wall SM, Kim YH, Stanley L, Glapion DM, Everett LA, Green ED, Verlander JW. NaCl restriction upregulates renal Slc26a4 through subcellular redistribution: role in Cl- conservation. Hypertension 2004;44:982-987.
    2. Carrisoza-Gaytan R, Ray EC, Flores D, Marciszyn AL, Wu P, Liu L, Subramanya AR, Wang W, Sheng S, Nkashama LJ, Chen J, Jackson EK, Mutchler SM, Heja S, Kohan DE, Satlin LM, Kleyman TR. Intercalated cell BKalpha subunit is required for flow-induced K+ secretion. JCI Insight 2020;5.
    3. Chen L, Lee JW, Chou CL, Nair AV, Battistone MA, Paunescu TG, Merkulova M, Breton S, Verlander JW, Wall SM, Brown D, Burg MB, Knepper MA. Transcriptomes of major renal collecting duct cell types in mouse identified by single-cell RNA-seq. Proc Natl Acad Sci U S A 2017;114:E9989-E9998. 4. Lifton RP, Gharavi AG, Geller DS. Molecular mechanisms of human hypertension. Cell 2001;104:545-556.
    5. Jeong HW, Jeon US, Koo BK, Kim WY, Im SK, Shin J, Cho Y, Kim J, Kong YY. Inactivation of Notch signaling in the renal collecting duct causes nephrogenic diabetes insipidus in mice. J Clin Invest 2009;119:3290-3300.
    6. Royaux IE, Wall SM, Karniski LP, Everett LA, Suzuki K, Knepper MA, Green ED. Pendrin, encoded by the Pendred syndrome gene, resides in the apical region of renal intercalated cells and mediates bicarbonate secretion. Proc Natl Acad Sci U S A 2001;98:4221-4226.


    問題2. 解答:a, c
    解説

    × a 酸化マグネシウム製剤の添付文書では腎障害は慎重投与とされており、血清マグネシウム濃度を定期的に測定しながら投与することは可能である。
    b ジギタリスのNa-K ATPase活性阻害作用により遠位尿細管でのMg再吸収が阻害され、血清マグネシウム濃度が低下する。低マグネシウム血症はジギタリス中毒を悪化させる可能性があり注意が必要である1)
    × c プロトンポンプ阻害薬による低マグネシウム血症の機序は腸管でのマグネシウム吸収障害と考えられている。
    d インスリン抵抗性により遠位尿細管管腔側のTRPM6(transient receptor potential melastatin 6)の発現が減少し、尿中マグネシウム排泄が亢進する。
    e 保存期CKD患者を対象にしたランダム化比較試験で酸化マグネシウムによる冠動脈石灰化の進展抑制効果が示されている2)

    参考文献:
    1. Young IS, Goh EM, McKillop UH, et al. Magnesium status and digoxin toxicity. Br J Clin Pharmacol. 1991;32(6):717-21.
    2. Sakaguchi Y, Hamano T, Obi Y, et al. A Randomized Trial of Magnesium Oxide and Oral Carbon Adsorbent for Coronary Artery Calcification in Predialysis CKD. J Am Soc Nephrol. 2019;30(6):1073-1085.


    問題3. 解答:b
    解説

    集合管における水の再吸収はarginine vasopressin (AVP)により、厳密に制御されている。血漿浸透圧の上昇は、前視床下部に局在する浸透圧受容体に感知され、脳下垂体からのAVPの分泌を刺激する。AVPは集合管のバゾプレシン2型受容体と結合し、AQP2水チャネルを尿細管管腔側膜へ移動させて尿からの水再吸収を促進させる。通常、血漿浸透圧は2%以内の変動(280〜290mOsm/kg)に厳密にコントロールされている。血漿浸透圧280〜290mOsm/kgがAVP分泌の閾値となっており、口渇の閾値は約290mOsm/kg以上でAVP放出の閾値より高値である。体液量受容体は、浸透圧受容体と比較しAVP分泌の感度が異なる。軽度の体液量低下ではAVPの分泌に変化はないが、低血圧になるほどの有効循環血漿量低下があると、AVPは多量に分泌され、浸透圧受容体による分泌を上回る。

    参考文献:
    1. G L Robertson, R L Shelton, S Athar. The osmoregulation of vasopressin. Kidney Int.1976 Jul;10(1):25-37.
    2. Fredrick L. Dunn, Thomas J. Brennan, Averial E. Nelson, and Gary L. Robertson. The Role of Blood Osmolality and Volume in Regulating Vasopressin Secretion in the Rat. J Clin Invest. 1973 Dec; 52(12): 3212-3219.


    問題4. 解答:a, c
    解説

    うっ血性心不全の治療中に、血清クレアチニン濃度の上昇、worsening renal function WRFに伴い、ループ利尿薬の効果の減弱を来すことをしばしば経験する。この病態を、利尿薬抵抗性、diuretics resistance と呼ばれ、うっ血性心不全の治療において、克服すべき問題とされている。

    × a 高CL血症と利尿薬抵抗性の関連は示唆されていない。
    b 低CL血症と利尿薬抵抗性の関連は示されており、低CL血症は、心不全の予後不良因子である。
    × c 高K血症と利尿薬抵抗性の直接の関連は示されていない。GFRの低下に伴う高K血症と利尿薬抵抗性の関連はある。
    d 低K血症は、レニンの分泌亢進や、遠位曲尿細管のNa再吸収増加から、利尿薬抵抗性を来す。
    e 低Na血症は、GFRの低下、ヘンレ上行脚への原尿の低下、抗利尿ホルモンの分泌と関連しており、利尿薬抵抗性を来たしうる。実際、低Na血症は、心不全の予後不良因子であることが示されている。

    低CL血症や低K血症は、macula densaからのレニン分泌の亢進、遠位曲尿細管でのNaCL再吸収の亢進につながり、利尿薬抵抗性を来たしうる。低Na血症の時は、低CL血症を伴っていることが多く、統計学的処理で補正すると、低Na血症ではなく、低CL血症が、利尿薬抵抗性やうっ血性心不全の予後不良因子であるという報告がある。低CL血症や低K血症は、ループ利尿薬で惹起される電解質異常でもあり、治療中の補正が、利尿薬抵抗性出現の予防の為にも重要と考えられている。

    参考文献:
    Masella C, Viggiano D, Molfino I, et al. Diuretic Resistance in Cardio-Nephrology: Role of Pharmacokinetics, Hypochloremia, and Kidney Remodeling. Kidney Blood Press Res. 2019;44:915‐927.


    問題5. 解答:d, e
    解説

    a 酸(H+)は、アンモニア(NH3)と共にアンモニウム(NH4+)として尿中へ排泄される。高カリウム血症は集合尿細管間在細胞のアンモニアトランスポーターRhesus C glycoprotein (Rhcg)の発現を減少させることにより尿中酸排泄を阻害する。一方、代謝性アシドーシスは、主細胞のrenal outer medullary potassium channel(ROMK)による尿中カリウム排泄を阻害することが示されている。
    b アルドステロンは、高カリウム血症と代謝性アシドーシスのいずれによっても分泌が刺激され、尿中カリウム排泄、酸排泄を促進する。アルドステロンの作用により、高カリウム血症と代謝性アシドーシスのvicious cycleを抑制しているものと考えられる1)
    c CKD患者における尿中アンモニウム排泄量を検討した観察研究によって、尿中NH4+排泄量の減少が末期腎不全または総死亡のリスクファクターとなることが示されている。血中HCO3-濃度の低下とは独立した危険因子であり、今後CKDにおける代謝性アシドーシスを推定する指標となる可能性がある2)
    × d CKDガイドラインでは、静脈血ガス分析でHCO3-が21mmol/Lを下回ったらNaHCO3投与を開始することが提案されている。これまでの観察研究やRCTにおいて、21mmol/L未満が腎機能予後の悪化と関連していたことによる。3)
    × e カリウムの摂取量の増加は、塩分感受性高血圧に対する降圧効果を有することが示唆されている。また、軽度の腎機能低下のCKD患者においても、腎機能低下の遅延をもたらすことが示唆されている。一方で、中等度以上の腎機能低下のCKD患者においては、腎機能低下の進行や死亡率と正に相関することが示されている。4, 5)

    参考文献:
    1. Wagner CA. Effect of mineralocorticoids on acid-base balance. Nephron Physiol 2014; 128: 26:34.
    2. Raphael KL, Carroll DJ, Murray J, Greene T, Beddhu S. Urine ammonium predicts clinical outcomes in hypertensive kidney disease. J Am Soc Nephrol 2017; 28: 2483-2490.
    3. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018.日本腎臓学会編集.東京医学社.東京.2018.
    4. Mente A, O'Donnell MJ, Rangarajan S, McQueen MJ, Poirier P, Wielgosz A, et al. for the PURE Investigators. Association of urinary sodium and potassium excretion with blood pressure. N Engl J Med 2014; 371: 601-611.
    5. He J, Mills KT, Appel LJ, Yang W, Chen J, Lee BT, Rosas SE, Porter A, Makos G, Weir MR, Hamm LL, Kusek JW, Chronic Renal Insufficiency Cohort Study Investigators. Urinary sodium and potassium excretion and CKD progression. J Am Soc Nephrol 2016; 27: 1202-1212.


    問題6. 解答:c, e
    解説

    × a SGLT2阻害薬は心血管リスクに対する安全性を検討するために実施された複数の第3相臨床試験にて心不全による入院の抑制効果が認められた1-3)
    × b SGLT2阻害薬による心血管リスクに対する安全性を評価するための試験では80%以上の患者でACE阻害薬・ARBが処方されているうえで、副次評価項目として複合腎イベントの抑制効果が示された1-3)。また、CREDENCE試験ではほぼ全例ACE阻害薬・ARB内服しており、主要評価項目として評価された複合心腎イベントの抑制効果が示された4)。これらの結果からACE阻害薬・ARBにSGLT2阻害薬を追加することによる腎保護効果が示された5)
    c CREDENCE試験ではeGFR 30〜90ml/min/1.73m2かつ尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR) 300〜5000mg/gCrの糖尿病性腎臓病患者を対象として、主要評価項目として末期腎不全(30日以上の維持透析・腎移植・30日以上eGFR<15ml/min/1.73m2が持続)・血清クレアチニン値の倍化・腎/心血管死亡の複合エンドポイントの抑制効果が示された(HR0.70 95%CI 0.59-0.82)4)
    × d DAPA-HF試験6)、EMPEROR-Reduced試験7)でSGLT2阻害薬はHFrEF患者において2型糖尿病の合併と関係なく心保護効果を有し、その効果はCKDの有無とも関係なく得られることが示されている。
    e CANVAS-Program2)やCREDENCE試験4)でDKAの発症数は少ないものの、SGLT2阻害薬投与群で上昇している。SGLT2阻害薬を使用している患者では発熱・下痢・食思不振による食事量低下時などにはDKAのリスクが上がることを考慮しSGLT2阻害薬の休薬を事前に指導することが重要である8)

    引用文献:
    1. Zinman B.,Wanner C.,Lachin J. M.,Fitchett D.,Bluhmki E.,Hantel S.,Mattheus M.,Devins T.,Johansen O. E.,Woerle H. J.,Broedl U. C.,Inzucchi S. E.,Investigators Empa-Reg Outcome.Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes.N Engl J Med 2015;373:2117-2128.
    2. Neal B.,Perkovic V.,Mahaffey K. W.,de Zeeuw D.,Fulcher G.,Erondu N.,Shaw W.,Law G.,Desai M.,Matthews D. R.,Group Canvas Program Collaborative.Canagliflozin and Cardiovascular and Renal Events in Type 2 Diabetes.N Engl J Med 2017;377:644-657.
    3. Wiviott S. D.,Raz I.,Bonaca M. P.,Mosenzon O.,Kato E. T.,Cahn A.,Silverman M. G.,Zelniker T. A.,Kuder J. F.,Murphy S. A.,Bhatt D. L.,Leiter L. A.,McGuire D. K.,Wilding J. P. H.,Ruff C. T.,Gause-Nilsson I. A. M.,Fredriksson M.,Johansson P. A.,Langkilde A. M.,Sabatine M. S.,Investigators Declare-Timi.Dapagliflozin and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes.N Engl J Med 2019;380:347-357.
    4. Perkovic V.,Jardine M. J.,Neal B.,Bompoint S.,Heerspink H. J. L.,Charytan D. M.,Edwards R.,Agarwal R.,Bakris G.,Bull S.,Cannon C. P.,Capuano G.,Chu P. L.,de Zeeuw D.,Greene T.,Levin A.,Pollock C.,Wheeler D. C.,Yavin Y.,Zhang H.,Zinman B.,Meininger G.,Brenner B. M.,Mahaffey K. W.,Investigators Credence Trial.Canagliflozin and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes and Nephropathy.N Engl J Med 2019;380:2295-2306.
    5. Fernandez-Fernandez B.,Fernandez-Prado R.,Gorriz J. L.,Martinez-Castelao A.,Navarro-Gonzalez J. F.,Porrini E.,Soler M. J.,Ortiz A..Canagliflozin and Renal Events in Diabetes with Established Nephropathy Clinical Evaluation and Study of Diabetic Nephropathy with Atrasentan: what was learned about the treatment of diabetic kidney disease with canagliflozin and atrasentan?.Clin Kidney J 2019;12:313-321.
    6. McMurray J. J. V.,Solomon S. D.,Inzucchi S. E.,Kober L.,Kosiborod M. N.,Martinez F. A.,Ponikowski P.,Sabatine M. S.,Anand I. S.,Belohlavek J.,Bohm M.,Chiang C. E.,Chopra V. K.,de Boer R. A.,Desai A. S.,Diez M.,Drozdz J.,Dukat A.,Ge J.,Howlett J. G.,Katova T.,Kitakaze M.,Ljungman C. E. A.,Merkely B.,Nicolau J. C.,O'Meara E.,Petrie M. C.,Vinh P. N.,Schou M.,Tereshchenko S.,Verma S.,Held C.,DeMets D. L.,Docherty K. F.,Jhund P. S.,Bengtsson O.,Sjostrand M.,Langkilde A. M.,Committees Dapa-Hf Trial,Investigators.Dapagliflozin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction.N Engl J Med 2019;381:1995-2008.
    7. Packer M.,Anker S. D.,Butler J.,Filippatos G.,Pocock S. J.,Carson P.,Januzzi J.,Verma S.,Tsutsui H.,Brueckmann M.,Jamal W.,Kimura K.,Schnee J.,Zeller C.,Cotton D.,Bocchi E.,Bohm M.,Choi D. J.,Chopra V.,Chuquiure E.,Giannetti N.,Janssens S.,Zhang J.,Gonzalez Juanatey J. R.,Kaul S.,Brunner-La Rocca H. P.,Merkely B.,Nicholls S. J.,Perrone S.,Pina I.,Ponikowski P.,Sattar N.,Senni M.,Seronde M. F.,Spinar J.,Squire I.,Taddei S.,Wanner C.,Zannad F.,Investigators E. MPEROR-Reduced Trial.Cardiovascular and Renal Outcomes with Empagliflozin in Heart Failure.N Engl J Med 2020.
    8. SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会. SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation. 2019年8月6日改訂.

  • 問題1. 解答:d
    解説

    × a eGFRが低下するとSGLT2阻害薬の血糖降下作用は減弱するものの、腎保護効果は保持される。
    × b DAPA-CKDの結果により、非糖尿病患者における心腎保護効果が示されている。[1]
    × c 全ての患者生じるわけではなく、non-dipperの患者も存在する。[2]
    d SGLT2阻害薬によるケトン体の上昇はmTORC1を抑制し、腎保護効果を発揮する[3]。
    × e エンドポイントに使用されているクレアチニンの倍化はeGFR57%に相当する。[4]

    引用文献:
    1. McMurray JJV, Solomon SD, Inzucchi SE, Køber L, Kosiborod MN, Martinez FA, et al. Dapagliflozin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction. N Engl J Med. 2019;381(21):1995-2008. Epub 2019/09/19. doi: 10.1056/NEJMoa1911303. PubMed PMID: 31535829.
    2. Kraus BJ, Weir MR, Bakris GL, Mattheus M, Cherney DZI, Sattar N, et al. Characterization and implications of the initial estimated glomerular filtration rate 'dip' upon sodium-glucose co-transporter-2 inhibition with empagliflozin in the EMPA-REG OUTCOME trial. Kidney Int. 2020. Epub 2020/11/09. doi: 10.1016/j.kint.2020.10.031. PubMed PMID: 33181154.
    3. Tomita I, Kume S, Sugahara S, Osawa N, Yamahara K, Yasuda-Yamahara M, et al. SGLT2 Inhibition Mediates Protection from Diabetic Kidney Disease by Promoting Ketone Body-Induced mTORC1 Inhibition. Cell Metab. 2020;32(3):404-19.e6. Epub 2020/07/28. doi: 10.1016/j.cmet.2020.06.020. PubMed PMID: 32726607.
    4. Inker LA, Lambers Heerspink HJ, Mondal H, Schmid CH, Tighiouart H, Noubary F, et al. GFR decline as an alternative end point to kidney failure in clinical trials: a meta-analysis of treatment effects from 37 randomized trials. Am J Kidney Dis. 2014;64(6):848-59. Epub 2014/10/16. doi: 10.1053/j.ajkd.2014.08.017. PubMed PMID: 25441438.


    問題2. 解答:b, e
    解説

    × a 花筵状線維化と閉塞性静脈炎はIgG4陽性形質細胞浸潤以外の病理所見としてIgG4関連疾患の病理診断に有用である。腎臓では閉塞性静脈炎は認められず花筵状線維化をしばしば認める1,2
    b IgG4関連腎臓病ではほとんどの例で上昇しているが稀に正常例もある3
    × c 38度以上の発熱は2019 ACR/EULAR IgG4-RD 分類基準ではExclusion criteriaの1つである1
    × d 高度の末梢血好酸球増多はIgG4関連腎臓病では稀で、むしろ別の疾患を疑う1
    e ANCA関連血管炎との真の合併は極めて稀である3

    引用文献:
    1. Wallace ZS, Naden RP, Chari S, Choi HK, et. Al. The 2019 American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism classification criteria for IgG4-related disease. Ann Rheum Dis. 2020;79:77-87.
    2. Yoshita K, Kawano M, Mizushima I,et al. Light-microscopic characteristics of IgG4-related tubulointerstitial nephritis: distinction from non-IgG4-related tubulointerstitial nephritis. Nephrol Dial Transplant. 2012;27:2755
    3. Saeki T, Kawano M, Nagasawa T, et al. Validation of the diagnostic criteria for IgG4-related kidney disease (IgG4-RKD) 2011, and proposal of a new 2020 version. Clin Exp Nephrol.(in press)


    問題3. 解答:e (4,5)
    解説

    × 1. 医師と患者が治療方針などの決定に関して合意に至るコミュニケーションのプロセスである。
    × 2. 決定にあたっては,エビデンスに基づく医学的情報の他に,患者の価値観,選好(preference)を考慮する。
    × 3. 意思決定ガイドは複雑な意思決定を支援するのに役立つ。
    4. 患者の自己決定権を保証するために,医師は自らの意見や提案を示さないようにする。
    5. インフォームド・コンセントと対立する考え方である。

    a(1,2),b(1,5),c(2,3),d(3,4),e(4,5)

    共同意思決定とは、医師と患者が治療方針などの決定に関して合意に至るコミュニケーションのプロセスである。決定にあたっては、医師はエビデンスに基づく医学的情報と自らの提案を示し、患者は自分が大切にしたいこと、価値観、選好(preference)を示し、医師と患者が協働で患者にとって最善の治療選択をすることである。患者の意思決定支援を効果的にするために開発されたパンフレット、ビデオ、ウェブなどをPatient Decision Aids(意思決定ガイド、意思決定支援ツール)と呼ぶ。治療選択肢の長所、短所に関する情報をわかりやすく示し、患者が自分にあった治療法を選ぶことを支援する。意思決定支援ツールの質を保証するために、作成の国際基準も作られている(International Patient Decision Aids Standard:IPDAS)。意思決定をすすめる話しあいにおいて、医師が自らの意見や提案を示すことは、患者の自己決定権を侵すものではない。共同意思決定プロレスに基づいて、複数の治療選択肢の中から、医療者と患者が協働し、患者にとって最適と思われる決定を下し、侵襲的医療行為の実施に同意した場合には、理想のインフォームド・コンセントとみなすことができる。インフォームド・コンセントと共同意思決定は同一ではないか、対立するものでもない。