APSN海外CME参加報告について

Asian Pacific Society of Nephrology (APSN)海外CME参加レポート

オーストラリア・ニュージーランド腎臓学会CME参加報告 東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 大庭梨菜

オーストラリア・ニュージーランド腎臓学会CME参加報告
東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 大庭梨菜


 今回私は日本腎臓学会グローバル連携強化委員会より若手腎臓医代表として選出頂き、54th Australian and New Zealand Society of Nephrology (ANZSN) Annual Scientific Meetingに先立ってオーストラリア・シドニーで行われたNephrology and Transplantation Update Course (2018年9月8日~9日)に参加させていただく貴重な機会を得ました。

 プログラムは2日間にわたりシドニーのInternational Convention Centreで朝8時から17時まで開催され、世界の腎臓内科の第一線で活躍される御高名な先生方の30分の講義を29コマも拝聴することが出来るというものでした。これまで国際学会に参加した際には自分の発表もあり、講演をゆっくりと聞く時間があまりなかったのですが、純粋に学びに行かせて頂いているので集中して講義を受けることが出来ました。内容はDiabetes and its complications, Chronic Kidney Disease, Kidney Transplant Recipients, Post Kidney Transplantation, End Stage Kidney Disease, Genetic & Clinical Nephrology, Research, General Nephrologyと多岐にわたり、それぞれのテーマごとに2~4コマの講義が行われました。各分野の基礎的なことから最新の知見まで自分の専攻分野である腎臓内科について幅広く学ぶことができ、大変有意義なCMEでした。ただ英語は得意な方ではあるものの母国語でない言語で難しい内容の講義を聞くことはとても集中力を要しましたし、また腎臓内科としてはほぼ1年目の私にとっては背景知識が足りていないところもあり、弱い分野に関してもっと事前に学習してくれば良かった、と思うこともありました。講義の中にはDiabetes and its complicationsのセッションで糖尿病性網膜症について眼科医の先生、神経症について神経内科の先生、またEnd Stage Kidney Diseaseのセッションでバスキュラーアクセスについて血管外科の先生など、他分野の先生方の講演もあり、専攻してから他科の先生の講演を聞く機会はあまりないので、非常に勉強になり興味深かったです。急性~慢性腎不全、血液/腹膜透析、移植、そして精神的ケアを含む緩和治療の分野まで、ほぼ全ての分野を網羅していました。

 このCMEに参加したことによるもう一つのかけがえのない経験は、初日のCourse Dinnerで、御高名な先生方とお知り合いになれたことです。学会場がHarbourに面しており、懇親会ディナーがSydney Harbour Cruiseという何とも贅沢な体験であり、またこの時に日本腎臓学会から選考された若手腎臓医ということでCoordinatorのMuh Geot Wong先生のご配慮でSydney Tang先生、Angela Wong先生、Adrian Liew先生と同じテーブルでディナーを楽しむという素晴らしい機会を得ました。その後のASNやWCNでも、この4名の先生は学会場でお目にかかると"Rina!" とお声をかけてくださり、交流を深められたことは財産となりました。またSydney Tang先生が私と同じように香港から参加していたBeckyさんという同期の先生もご紹介してくださり、今でも連絡を取り合い同じ若手腎臓医として良い刺激を受けています。

 短期間ですので観光をする時間はなかったのですが、シドニーに医学生の頃本学に短期留学し交流を深めた友人(現在は精神科医)がおり、彼女と食事を共にしたり、2日目の夜には当日チケットを取り趣味のミュージカル鑑賞をしたりと、充実した時間を過ごしました。

 最後になりましたが、腎臓内科医としての経験の浅い私にこのような貴重な機会を与えて下さった日本腎臓学会グローバル連携強化委員会の先生方、滞在期間中日常臨床業務をサポートして頂いた先生方、すべての皆様に心から感謝いたします。この経験を活かし、日々精進して参ります。


Asian Pacific Society of Nephrology (APSN)
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