会員のための教育・情報
第50回日本腎臓学会学術総会特別企画
第50回日本腎臓学会総会特別企画
慢性腎臓病対策を進めるために~地域での取り組みから学ぶこと~ を振り返って
福島県立医科大学第3内科 渡辺 毅
筑波大学大学院人間総合科学研究科臨床医学系腎臓内科 山縣 邦弘
2007年はわが国の慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)という新しい概念が普及し、その対策の重要性が強く認識された年です。一方わが国では、30年以上前から学校検診、職域検診、地域住民検診を通して、腎不全対策事業が行われてきており、この視点からはCKD対策は決して新しい概念ではありません。しかしながら我が国では、人口あたりの維持透析患者数は世界で最も多く、新規維持透析患者数も年々増加している事実もあります。従って今後の高齢化社会の進展にあたり、CKDの発症予防やCKDの結果発症する心臓血管病や腎不全患者の早期発見早期治療開始により、確実なCKD対策の確立が急務であります。
第50回日本腎臓学会総会においては、菱田明会長の指揮のもとこの特別企画が行われました。本企画ではCKD対策の確立にむけ、現時点において先進的な活動を行っている施設、地域の方々にその実践されている具体策をお示しいただき、この方法を共有化し、ひいては全国のCKD対 策が着実に前進を遂げ、我が国の腎不全患者の減少が達成されることが目的でありました。このたび、当日発表されました各演題のサマリーを公開することにな りました。このページを腎臓学会関係者はじめ、一般の医療従事者、保健指導担当者など、より多くの方々に供覧していただき、CKD対策策定の参考に供してくことにより、我が国のCKD対策のますますの発展をはかることができればと思っております。
最後になりますが、今回の腎臓学会ホームページ上のサマリー公開に当たり、発表後のサマリー作成をいただきました各演者の先生方に感謝するとともに、この企画全般に多大なるご支援をいただきました第50回日本腎臓学会総会の藤垣嘉秀事務局長に深謝いたします。
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健診結果から展望する地域における慢性腎疾患の取り組み | 斎藤知栄、山縣邦弘 筑波大学大学院人間総合科学研究 科臨床医学系腎臓内科 |
石田久美子、入江ふじこ 茨城県保険福祉部 |
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西連地利巳 茨城県立健康プラザ |
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2 |
長寿県から腎不全多発地域へ:沖縄県の現状と対策 | 井関邦敏 琉球大学医学部附属病院血液浄化療法部・ 沖縄透析研究グループ |
和気 亨、徳間清之、 潮平芳樹、上原 元、當間茂樹 沖縄透析研究グループ |
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3 |
大阪府立学校の検尿システムへの介入 | 勝二達也、植畑拓也、井上和則、 林 大祐、金子哲也、椿原美治 大阪府立急性期・総合医療センター 腎臓・高血圧内科 |
森 勝敬 森クリニック |
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里村憲一 大阪府立母子健康総合医療センター腎代謝科 |
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大阪府立学校検尿判定委員会 |
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4 |
レミッション・クリニックと総合的腎不全抑制対策 | 福田道雄、木村玄次郎 名古屋市立大学心臓・腎高血圧内科学 |
5 |
東京都八王子市における慢性腎臓病対策の実践―10年間の腎臓病教室、腎臓総合診療体制、市民講座の啓蒙― | 吉田雅治 東京医科大学八王子医療センター腎臓内科 |
6 |
慢性腎臓病における患者教育を介した病診連携システム | 稲熊大城、立松美穂、鈴木祥代、 三島智子、新城 響、倉田 圭 公立陶生病院腎・膠原病内科 |
湯澤由紀夫、松尾清一 名古屋大学大学院病態内科学講座 腎臓内科学 |
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7 |
浜松地区におけるCKD病診連携の取り組み | 磯崎泰介、鈴木由美子 聖隷浜松病院腎臓内科 |
坂尾幸俊、杉浦 剛、 藤垣嘉秀、菱田 明 浜松医科大学第一内科 |
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神川 正、遠藤徹郎、 川村 修、大竹 喬二、 大石正晃、名和紀之、根本正樹 浜松市医師会 |
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8 |
慢性腎臓病治療を強力に実施するために設立したチーム医療による腎機能改善外来の効果 | 海津嘉蔵 社会保険横浜中央病院腎・血液浄化療法科 |
阿部雅紀、松本紘一 日本大学医学部腎臓・内分泌内科部門 |