褒賞選考部会

大島賞・CSA(Clinical Scientist Award)

平成18年度 大島賞選考結果報告

平成18年度 大島賞選考結果報告


平成18年度大島賞選考結果報告

褒章選考委員会
委員長 市川 家國

大島賞は若手研究者を対象に、その研究業績の質などに基づき、将来の腎臓学研究のリーダーたりうる人材に光を当てることを目的に設けられたもので、毎年2 名の30代の研究者に授与している。過去の受賞者の顔ぶれから、厳しいコンペティションの伝統が確立されたものと見てとれる。今年度は7名の候補があり、 いずれの研究業績も質が高く、一方では厳しい競争を意識してか、候補者への推薦状の内容も具体的かつ熱がこもったものであった。 平成17年9月13日の夕刻、日本腎臓学会事務局で開かれた褒章選考委員会の会議では、1時間に及ぶ多岐にわたる議論の結果、委員の見解の一致を見て、推 薦する2名の結論を得た。
被推薦者の一人、種本雅之氏はK+リサイクリング、循環血液量、酸塩基平衡調節という腎臓生理学ではいずれもメインテーマである課題を抱合する画期的知見 を見出され、その後もこの領域における研究に邁進されている。新しい研究領域を開拓するという研究者としての高いポテンシャルを印象づけており、受賞に値 すると判断された。被推薦者のもう一人、冨田奈留也氏は筆頭著者論文数において突出しており、その内容も一貫して遺伝子導入の開発に関するもので、いち早 く腎臓への遺伝子導入に取り組んだパイオニアであり、その面で腎臓学研究への貢献度は高い。委員の評価も一致して高かった。
7名の候補の業績にある研究内容はいずれも質の高いものであったが、種本・冨田の両氏は1つのテーマに関する一貫した研究姿勢と研究領域でのリーダーとしてのポテンシャルが殊に高く評価された結果といえる。

《受賞者》

種本 雅之・東北大学医学部腎高血圧内分泌科

「体液恒常性維持の分子機構とその破綻に基づく病態の解明」

冨田 奈留也・川崎医科大学腎臓内科学教室

「難治性腎疾患に対する核酸医薬技術による新たな治療法の開発」